草葉達也の神戸物語

ゲスト: 高田次郎さん (喜劇俳優)

 

 「神戸懐かしいですねー」と嬉しそうに迎えてくれたのは、関西に本拠地を置く松竹新喜劇でお馴染み高田次郎さん。関西の喜劇界の重鎮です。昭和のテレビドラマの大ヒット作品「どてらい男」「細うで繁盛記」「あかんたれ」というような、一世を風靡した故・花登筐作品では、なくてはならない名脇役でした。現在は松竹新喜劇をはじめ、いろんな舞台に出演されています。大阪道頓堀にあります松竹座の楽屋にお邪魔してきました。

 

草葉 初めまして。作家の草葉です。
高田 どうもどうも高田です。
草葉 私は花登筐先生に弟子入りしようかと思っていたぐらい花登作品が好きでして、それでずっと高田さんもテレビで見ていました。
高田 (笑)悪役ばっかりでね。
草葉 そうですね(笑) 前にテレビで、高田さんが神戸の思い出を話しているのを見て、へぇ~高田次郎さん神戸なんやって。
高田 あー浜村淳さんの番組ですわ。草葉さんはどちらにお住まいですか?
草葉 私は中央区のポートアイランドです。
高田 ほぉー ポートアイランドですか。あそこはねぇ、すごく思い出がありますわ。
草葉 というと?
高田 ポートアイランド自体には思い出はないけど、あの神戸港に私の青春時代がありましたね。私は今の中央区、昔は生田区言うてましたけど、新開地通りからずーっと川崎造船所の方に下りてきた、東川崎町の稲荷市場辺りがホームグランドですわ。
草葉 あのビリケンさんがある?
高田 そうそう! そこからちょっと行くと煉瓦倉庫がありましてね。終戦後、日本軍の食料や物資が進駐軍に接収されて、その煉瓦倉庫にも入っていることを知りましてね、お友達とよくいただきに行きましたわ(笑)
草葉 映画みたいですね(笑)
高田 映画というか生活やからね。桟橋を通ると進駐軍に見つかるから海を泳いで渡ってね、どんぶり鉢に砂糖を入れて濡れないようにして持って帰って、それを蜜にして瓶に入れて売りましたわ。あとグリースで石鹸作って売ったりね。神戸港はそんな思い出がいっぱいありますわ。
草葉 そんな青春時代を過ごしていた高田さんが演劇に出会ったのは?
高田 戦争終わって何もすることがなくて、たまたま見た神戸新聞で『道化座』の座員を募集していましてね、それでそこに入ったのがきっかけです。すると当時『道化座』で一番偉い方から、他で芝居に出ることになったので付き人で来てほしいと言われて、付いて行った先が松竹です。
草葉 そうですか…それは縁ですね。神戸には時々来られますか?
高田 それが、なかなか行けませんわー。でも何年か前に大丸のとこのおしゃれな喫茶店に行ったけど、あの辺は雰囲気もいいし歩いている女性が綺麗で品があってね、ああ神戸に生まれて良かったなぁーって思いましたわ。

 

ドラマや芝居では悪役や、ちょっと頑固で意地悪な役が多い高田次郎さん。本当に優しくて、神戸から来たことを大歓迎してくれました。お聞きした話の中心が戦争のことでしたが、悲しいことも楽しかったことも、すべてが高田さんにとって神戸の思い出だそうです。これからも良い芝居を見せてくださいね。

 

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高田 次郎(たかだ じろう、1931年生まれ)

神戸市に生まれ。「神戸道化座」、「松竹新春座」を経て、1957年「松竹家庭劇」旗揚げに参加する(のちの松竹新喜劇) 1967年から、松竹芸能に席をおき、テレビドラマを中心に活躍する。

 

くさば たつや

神戸生まれ。作家、エッセイスト。
日本ペンクラブ会員、日本演劇学会会員
神戸芸術文化会議会員、大阪大学文学部研究科
阪南大学国際コミュニケーション学部非常勤講師


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目次 2013年3月号