六甲山の麓を背景に、南に大阪湾を見下ろす明るいキャンパス

世界に通用する 紳士たれ

阪神間を代表する中高一貫教育の私立校、甲南高等学校・中学校。一世紀近くにわたり受け継がれてきた精神と甲南気質について伺った。

甲南学園の歴史と建学の精神
―甲南学園の歴史は100年におよぶそうですね。
松田 甲南高等学校・中学校は、中学校として1919(大正8)年に創設され、今年で94年目です。別の学校法人でありますが甲南学園の歴史の始まりといえる甲南幼稚園・小学校は1910(明治43)年に創設されましたので、昨年100周年を迎えました。
―「世界に通用する紳士たれ」というのは?
松田 「健全な常識を持った世界に通用する紳士たれ」というのは、甲南学園創設にかかわった平生釟三郎先生の言葉です。文字で残されているわけではないのですが、旧制中学、もしくは旧制7年制高等学校の時代に朝礼で常に平生先生が話しておられたことを、当時の生徒であった方々はよく覚えておられます。東京海上保険株式会社勤務ではイギリス・ロンドン赴任経験もあった平生先生は、世界中どこへ出ても恥ずかしくない人になれという思いを持っておられたのでしょうね。私もこの言葉を生徒たちに話しますが、「紳士」という言葉に子どもたちは一種の憧れを抱き、使命感を感じているように思います。
―幼稚園から大学まで、どういうシステムになっていますか。
松田 幼稚園・小学校を男女共学で経て、女子は甲南女子中・高等学校へ、男子は甲南中・高等学校へと進みます。大学は、女子は甲南女子大学、または他の大学へ、男子は3分の2が甲南大学、3分の1が他の大学へと進学します。
中高一貫教育のメリット
―6年間一貫教育の良さは?
松田 まず、高校受験を意識せず6年スパンのカリキュラムを組み、教育できるということです。生徒それぞれが落ち着いて有意義な学校生活を送っています。クラブ活動に打ち込む生徒、勉強に励む生徒、芸術や芸能などの得意な分野に力を注ぎ、既に活躍している生徒もいます。部活動では、春休みには将棋部が兵庫県NO1になりました。ジャズのビッグバンド「ブラスアンサンブル部」は全国各地に招待されて演奏に出かけています。そのほかにテニス部やアーチェリー部など全国レベルで強い運動部もあります。
―部活動も6年間一貫ですか。その良さは?
松田 一部を除いて、ほぼ全ての部活動で中学1年生から高校三年生までが、同じ場所で同じ時間帯に練習しています。特に強い部では練習で非常に熱心に上級生が下級生を上手に指導しています。部活動で横のつながりだけでなく、先輩・後輩という上下の関係を学べることも中高一貫校の良い点だと思いますね。
―進路はいつから分かれるのですか。
松田 中学1・2年生は、勉強や学校生活、家庭学習など全ての面において基礎鍛錬の時期です。中学3年生と高校一年生では、理系や他大学受験を目指す文理コースと甲南大学進学を視野に入れたコースの2つに分かれます。高校二年生で文理コースが文系と理系に分かれ、高校三年生にかけて本格的に進路指導を行っています。基礎から入り、応用期間でコースを変更しながら次第に進路を絞ります。理系の最後の2年間では特別実験も入ってきますので、甲南大学の理工学部・知能情報学部・フロンティアサイエンス学部の先生方に指導いただくこともあります。甲南大学の理系は非常にレベルが高く、子どもたちにとっては大変良いシステムだと思います。
―留学や国際交流にも力も入れていますね。
松田 生徒だけでなく、そのご家庭も留学に対する意識が高いようです。海外の姉妹校留学を1年間終えて帰ってくる子どもは、正に別人です。語学が上達するのはもちろんですが、将来は国際社会で活躍したいという意欲を持って帰ってきます。長期留学以外にも、高校二年生の3学期において、オーストラリア、カナダ、イギリスの学校に留学する「グローバル・スタディ・プログラム」を用意しております。わずか3カ月の留学経験ですが、子どもたちは非常に大きく成長して帰ってきます。
明るく自由にのびのびと
―生徒さんの気質は?
松田 男子ばかりですから、子どもたちは皆、非常に素直です。叱ってもすぐに受け入れてくれます。また、創設以来、「明るく、自由」が甲南の特色で、授業展開もかなりの部分を教員に任せていて、それぞれの教員が自分の得意分野を生かして授業を進めています。そういう意味でも、子どもたちはのびのびしています。
―甲南の特徴は?
松田 甲南大学という大きな母体があるということです。大学から先生に来ていただき中学・高校の授業をしていただくこともありますし、大学ゼミの見学に行くなどいろいろな交流があります。もちろん甲南大学にはない学部に進みたいという生徒に対しては、他大学への進路を私たちが責任を持ち、積極的に指導しています。
―卒業後はやはり家業を継ぐというケースが多いのですか。
松田 昔ほどではありませんが、そういった意識を持って甲南へ入学させるご家庭もあります。甲南には〝甲南の風〟が流れているのでしょうか、親子孫三代甲南というケースもかなりありますね。
―今後、甲南が目指すところは?
松田 まず、一貫教育をもっとはっきりと打ち出していき、小学校から大学までのプログラムを確立していくこと。さらに、多様化する子どもたちの進路を多方面で保証していくこと。人間づくりとそれに付加して、子どもの意識レベルと教員の力量を高めることによってもっと学力を高めていく必要があると思っています。
―伝統を守りながら、さらに充実した学園づくりを目指すということですね。100年に向け、是非頑張って下さい。
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スチューデント・ジャズ・フェスティバルを3連覇したブラスアンサンブル部

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「世界に通用する紳士」の育成を目指した平生釟三郎。今でも生徒たちの元気な姿を見守る

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近年の全国大会優勝が輝くテニス部

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ネイティブ・スピーカーによる授業で生きた英語を身につける

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通常授業のほかに理数コースでは専門性の高い実験・実習も行う

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甲南高等学校・中学校
校長 
松田 博志さん

1949年大阪府吹田市生まれ。大阪府立春日丘高校卒業。1973年甲南大学理学部生物学科卒業、1975年同大学院自然科学研究科生物学専攻修了、同年甲南高等学校・中学校理科(生物)教諭。2000年教頭、2006年副校長、2011年より現職。


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目次 2012年7月号