校内の桜の下で、高校2年生の生徒たちと向田校長先生

元気を出して、チャンスをつかもう!

この春、新しく校長に就任された向田茂先生は、始業式式辞の人間味溢れる言葉ですでに生徒と先生の心をつかんだ。それはどんな言葉だったのか? これからの子どもたちは? お話をお聞きした。

元気を発散する場、学びの場は夢を抱くために

―県立高校をはじめ、長年教育現場におられる先生からご覧になって、今の若者はどのような状況に置かれていますか?
向田 今は日本が経済的にも政治的にも混迷し、先行き不透明感があって、若者が夢を持ちにくい社会になっていると言われています。高校生に「将来の夢は?」とたずねても、あまり明確な回答が返ってこないという調査結果も出ています。残念ながら、海外に出たり、何かにチャレンジしたりという意欲を持つ子どもが少ないようです。こういう社会にした我々大人の責任もあると思いますが、一方、これからの日本を支えていく元気な若者を育てていく教育の役割は大きいと考えています。

―先生ご自身はどういう夢を持っておれらましたか。
向田 私は、教員だった父のことが大好きで、いつか自分も父を越えるほどの先生になりたいという夢を持っていました。もう一つは、野球が好きで、プロになるほどの自信はなかったですが、いつか甲子園に出場するような高校野球の監督になりたいと思っていました。商社マンになって海外で活躍したいという夢も持っていましたね。あまり世間のことも分からず考えていたんですが(笑)。

―夢を持てる時代だったのですね。
向田 社会全体が貧しくても右肩上がりの時代。夢を持てる状況だったのかなと思います。今は閉塞感がありますが、いつの時代も若者は本来、元気を持っていると私は信じています。元気を発散する場が与えられていないだけです。色々な場を提供するのが教育現場の責任です。
例えば部活動や学校行事ですね。また、教室で学ぶだけでなく、学んだことを実践できる場など。周囲から認めてもらうことで自信を持ち、元気が増幅されます。これは学習の場でも同じで、「よくできたね」と声をかけると子どもたちは目が輝き始めますね。

今は「魔の時間帯」大きなチャンスがある

―中高の6年間は人生の中でどういう時期なのでしょうか。
向田 最も多感な時期。この期間に出会う大人の影響力は非常に大きいと思います。そういう意味で、家族と同じくらい長い時間を共にする教員の責任は重く、その言動がその子の人生に大きな影響を与えると思います。

―先生はどういう信念を持って生徒に接しておられますか。
向田 生徒一人ひとりが持っている個性を認めること。うまく自分を表現できる子もいれば、苦手な子もいます。一人ひとり違いますが、全部を受け入れられる大きな容量を持っていなければ教員のプロとは言えないのではないかと考えています。

―先生方に対しては?
向田 式辞などで生徒に対して話す時、私はその向こうにいる先生方に対しても話しているつもりでいます。今年の始業式では「サッカーには『魔の時間帯』がある。開始後、ハーフタイムの前後、終了間際、それぞれの5分間は気持ちが緩み得点が入りやすい。ということは攻める側が集中すれば得点を取りやすい。皆さんも今、『魔の時間帯』にいます。トップスピードで頑張りましょう」と生徒たちに話しました。時代は沈みがちだが、こんな時だからこそ頑張ればチャンスに変えられる。ものごとを積極的にとらえることが大切という思いを込めて話したのですが、先生方からも反響がありました。

―今年創立125周年を迎えた親和の良さ、そして今後についてお聞かせください。
向田 私は、入学して3年間で次の段階に進まなければならない公立高校で過ごしてきました。親和では、中高一貫6年間で生徒たちはじっくりと自分について考え、教員も一人ひとりの能力を引き出すためのプログラムを提供しながら生徒とゆっくり向き合えます。恵まれた環境だと思います。今後も校祖・友國晴子先生の教育理念に基づき、6年間かけて学力と人間力を備えた人を育てていきたいと考えています。「親和で6年間過ごして良かった」と言ってもらえれば一番嬉しいでしょうね。

―皆から親しまれる校長先生。スポーツ指導での手腕にも期待しています!ありがとうございました。
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向田 茂(むかいだ しげる)

親和中学校・親和女子高等学校 校長
1974年東京教育大学文学部卒業。西宮市立西宮東高校教諭などをへて、2003年兵庫県立尼崎高校校長就任。以来、兵庫県立芦屋高校、兵庫県立神戸商業高校、兵庫県立姫路西高校の各校長をつとめる。2012年4月より現職。


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目次 2012年5月号