軍師黒田官兵衛と兵庫県

関西学院創立125年記念 ホームカミングデー特別講演

園田学園女子大学名誉教授
田辺 眞人さん(昭和46年関西学院大学文学部卒)

昨年11月22日、関西学院ホームカミングデーが開催された。昨年、創立125周年を記念して建て替えられた中央講堂では、式典やコンサートの開催の後、特別講演として田辺眞人さんの『軍師黒田官兵衛と兵庫県』があり、多くの同窓生や、地域の皆さんが聴講した。「25年前に100周年の記念講演のひとつをさせていただき、25年後が今回。大勢の先輩や母校の先生方を前に檀上で講演するのは大変なプレッシャーですが、さらに25年後の150周年にも呼んでいただけるというお約束で、今日は出てまいりました」。田辺先生ならではの和やかな雰囲気で始まった講演をダイジェストにしてご紹介します。

中央講堂(125周年記念講堂)で行われた講演には多くの同窓生・地域の人々が参加した

中央講堂(125周年記念講堂)で行われた講演には多くの同窓生・地域の人々が参加した

2014年NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」

 震災後、兵庫県はNHKに『黒田官兵衛を大河ドラマの主人公に』とお願いしましたが断られました。何故か?ドラマでもお分かりのように官兵衛さんは「光さん」一筋。怪しい女性のカゲがない人物は、一年間の大河ドラマの主人公にはなりにくいそうです(笑)。官兵衛さんは兵庫県生まれで九州へ行ったローカルな人で、歴史の中でも完全な脇役ですが、今年の大河ドラマは俳優さんの熱演もさることながら、史実に矛盾なくすばらしいドラマ作りがされていて、とても好評ですね。私も毎週楽しみに観ています。今日はそのストーリーを追うほどの時間はありませんので、ちょっと違った角度から官兵衛さんを考えていただけるようにお話しします。

官兵衛さんはどんな人だったか

官兵衛さんは1546年生まれ。その3年前に鉄砲伝来、3年後にザビエルが鹿児島に上陸してキリスト教が伝わります。恐らく、新兵器の鉄砲を使いこなし、当たり前のように受け入れたキリシタン大名だったのでしょうね。今の若い人たちが当たり前のようにパソコンを使いこなすようなものですね。1604年に亡くなっていますから、徳川幕府が出来るのは見届けたものの、豊臣家の終焉は見届けることがありませんでした。 
元々、黒田家は現在の近江国黒田邑、現在の滋賀県木之本町から始まり、備前国福岡、その後将来性を見込んで播磨国姫路へと移り住みます。姫路での黒田家3代目が官兵衛さんです。その頃、尾張の織田信長が登場し、中部から出て畿内を征し、毛利に向かって羽柴秀吉を播磨に送りました。官兵衛さんは秀吉に従い佐用・上月、三木、伊丹といくつもの合戦を共にして勝ち戦へと導きます。本能寺の変の後、信長のあとを継いだ秀吉が、中国の毛利と和睦し、四国・九州を支配しようと、官兵衛を九州に送りました。官兵衛は中津に城を築き、豊前六郡十二万石の大名となります。

官兵衛さんはどんな武士だったか

 皆さんよくご存知の「いっしょけんめい」ということばは、鎌倉時代の武士が、親から受け継いだ一ヶ所の所領を、命を懸けて守り抜き次の代に伝えていくという生き方を表したことばで、「一所懸命」という意味なんです。さて、そもそも「武士」というものが生まれた歴史的背景は、律令制が動揺し始めた平安時代、私的に武装し財産、つまり土地を一所懸命に守ろうとしたのが始まりです。鎌倉時代に入り、世の中が平穏になり経済が発展してくると、今までのような土地に代表される不動産を守ることから、動産つまり商品を守ることも必要となってくる。そこで新しい形の武士が出てきます。黒田家代々、そして官兵衛さんは?と言うと、新田開発をして土地に根をおろすというより、交通・通商の要地に抵抗なく移住していきました。決して一所懸命形の伝統的な武門ではないことがわかります。

物流を仕切った勝者のリーダー

 明治維新までの日本には66の国がありました。飛行機、自動車、鉄道がない頃、太平洋から日本海へと物流は、背中に背負うか、馬の背に載せるか、船に載せるか。そんな時代に、昔から物流を仕切る人々の日本で最も大事な地域は近江の国でした。黒田家一族もまさにそのものです。DNAに刷り込まれているのか…官兵衛さんのユニークな戦略を見ると、鳥取城兵糧攻め、高松城水攻めとその後の有名な中国大返し、九州別府石垣原の戦いの戦略など、地主的な武士ではなく、広域の情報や交通路に通じた、商業や流通業に関わった武将だったことがよくわかります。(講演より)

 続いて、阪神間の花隈城や伊丹城などにまつわる歴史の話は尽きないところ、「ご興味おありの方は、日曜朝10時からラジオ関西『田辺眞人のまっこと!ラジオ』をぜひお聴きください」と締めくくった。「皆様方には25年後、関学の創立150周年の催しでまたお会いしたいと思います」と講演を終えた田辺先生に、ルース・M・グルーベル院長から感謝の花束が贈呈された。

田辺 眞人(たなべ まこと)

1947年神戸生まれ。関西学院大学文学部史学科卒業。1986~1991年ニュージーランド政府教育省・国立マッセイ大学勤務。現在は、園田学園女子大学名誉教授、神戸学院大学客員教授、宝塚市大使、NHK 近畿 番組審議会委員などをつとめる。

関西学院大学博物館

長らく図書館として親しまれてきた関西学院大学の時計台。創立125周年を機に大学博物館として開館しました。
【平常展】
「Gift for the Future 関西学院のあゆみ―学院創立にかけた情熱―」
会期:2015年2月23日~5月9日 9:30~16:30
(入館は16:00まで、日・祝休館、3/21、4/29、5/4は開館)入館無料
関西学院発祥の地である、神戸原田の森キャンパスの時代から振り返ることができます。(TEL.0798-54-6054 関西学院大学博物館)
20150207404

【神戸港発着】さんふらわあ 田辺眞人先生と行く船旅「歴史探訪シリーズ」

2月12日(木) 杵築城下町と国東の磨崖仏・国宝富貴寺、一遍上人と別府鉄輪温泉
3月30日(月)・5月29日(金) 国宝石仏・明石原人の父 直良信夫・春日局ゆかりの城下町「臼杵」散策
※3月30日はさんふらわあ船内で臼杵市とコラボイベント開催予定です
4月13日(月) 官兵衛ゆかりの中津城 修験の求菩提山・耶馬渓と青の洞門
7月 6日(月) もうひとつの竹田の天空の城 岡城址と長湯温泉
日本最大級の普光寺磨崖仏 東洋のナイアガラ原尻の滝
※いずれも19:00出港/3日間の行程です(5月29日のみ19:50出港) ※各コース先着40名様
■旅行料金 お一人様23,000円
※さんふらわあスタンダード個室・講師代・貸切バス・ガイド代・現地昼食1回・復路船内夕食1回・入浴・拝観入場料・添乗員費用・諸税込
■ご予約・お問い合わせ さんふらわあトラベル TEL:06-6344-8521 営業時間/平日 9:45〜17:30(休日:土日祝)
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