潮風を受けて西宮港を帆走する関西ヨットクラブのメンバーたち

西宮とともに50年 日本屈指の名門ヨットクラブ

一般社団法人 関西ヨットクラブ 理事長 渡邊 浩 さん

関西の財界人たちが尽力し、西宮港を拠点に誕生した「関西ヨットクラブ」は、
日本屈指の名門クラブとして2014年、50周年を迎えた。

財界人の〝茶飲み話〟から始まった

―関西ヨットクラブ発足の経緯は。
渡邊 堀江謙一氏が単独太平洋横断を成し遂げた1962年、当時の伊藤忠商事会長の小菅宇一朗氏をはじめとした関西財界人のティータイムでの話題が、堀江青年の快挙に及んだそうです。〝万年青年〟たちの話は盛り上がり、「世界に通用するヨットクラブを関西に作ろうじゃないか!」と発展しました。多くの関西財界人の協力を得て、優れたヨット基地としての機能と立地条件を備えた西宮港にクラブハウスを置き、64年に関西ヨットクラブ(以下、KYC)が発足しました。〝茶飲み話〟から始まった夢物語が現実のものとなったのです。
―いまや日本屈指の名門クラブですね。
渡邊 ヨットマンとしてのプライドを持った立派な会員さんばかりで、私など足元にも及びません。
―渡邊理事長が入会したきっかけは。
渡邊 この雰囲気をとても気に入った家内が「入会しましょう」と私の背中を押しました。当時のKYCは入会金がとても高かったのですがね…私が大学のヨット部員だったころに知り合った家内は、自身はヨットには乗らなくても理解を示してくれていました。ところが大型ヨットを買おうとしたら、家内をはじめ家族全員が大反対(笑)。以来私は、A級ディンギー一筋です。5月31日には新西宮ヨットハーバーで開催される全日本A級ディンギー選手権大会の70歳以上限定スーパーシニアレースに参加します。
―KYC主催のレースもたくさんありますね。
渡邊 常時クラブレースを開催していますし、海外の名だたるレースに参加する会員さんも大勢おられます。昨年は、日本、香港、オーストラリア、カナダ4カ国の親善レース「ドラゴン・インターポート・レガッタ」を開催しました。日本はKYC、3カ国はそれぞれ「Royal」を冠する名門ヨットクラブが持ち回りで開催します。「ロイヤルホンコンヨットクラブ」に行ったときには、日本のヨットクラブとの格の違いに驚きました。元々は王室が設立したクラブで、会員は約2千人!そんなクラブと肩を並べて開催できるというのは名門の証だと誇りに思っています。
―環境も素晴らしいですね。
渡邊 新西宮ヨット―ハーバーへは95年に移転しましたが、このクラブハウスから見るバースや海の風景の素晴らしさはどこのクラブにも負けません。特に夏、西の海へ沈んでいく夕日を眺めるのが私は大好きです。

 

KYCを〝楽しい〟ヨットクラブに!

―渡邊理事長とヨットの出会いは。
渡邊 私は台湾で生まれ、戦後、家族とともに日本へ引き揚げてきたという事情があり、同級生の4年遅れで法政大学に入学しました。逗子に下宿し、海が好きで、しばしば逗子海岸に座って友達と沖を眺めていました。ある日、高齢のご夫婦が夕日を浴びながらセーリングしているのを見て、「年を取ったらあんなふうになりたいなあ。まずヨットに乗れるようにならなくては!」と、友達を誘い2人でヨット部に入りました。帆走法を覚えたら辞めようと思っていたのですが、そう甘くはなく1年生は先輩のセーリングのお世話ばかり。合宿でやっと舵を持たせてもらえます。夜、横浜を出港して横須賀を経て猿島沖を通り、観音崎沖で夜明けを待ち、朝凪を利用して東京湾を横断して横浜へ戻ります。ライフジャケットやウエットスーツなどない時代、夜に帆走するのですから危険と隣り合わせ。でも事故は無かったですよ。当時の大学ヨット部員は海の怖さを知り、その反面の楽しさを経験しました。自然というものを学びました。
―第10代目理事長として迎えた50周年の思いは。
渡邊 私は理事長など全く考えていませんでした。まして50周年という大きな節目の年で、ドラゴンレースの開催もあり、私にできるのだろうか?と不安がいっぱいでした。しかし引き受けたからには、きちんとお世話しなくてはいけないと覚悟を決めました。
―KYC今後の展望は。
渡邊 昨今の厳しい経済状況により会員数は減少し、運営の見直しを迫られているのが現状です。入会を待っているだけで運営ができる時代ではなく、クラブとして収入を得るために知恵を絞らなくてはいけません。会員の皆さんに「楽しい」と思ってもらい、「入会したい」と言ってもらえるクラブにしようと、理事全員で検討しています。そして次の世代へと繋いでいくのが私たちの役目です。
―ご自身の今後の展望は。
渡邊 ヨットのお陰で、私は仕事をリタイアしてからも多くの方と幅広くお付き合いさせていただいています。これからも元気でいられる限りはヨットを続けたいですね、楽しくね!
―お住まいは西宮ということですが、どんな街でしょうか。
渡邊 海があり山があり、環境に恵まれた街です。気候が良く、自然災害にも強い街だと思いますね。伝統のある良い学校もたくさんあります。美味しいお酒があり、甲子園球場もあり…阪神ファンではないですが(笑)。神戸と大阪の中間に位置して交通の便も良く、「ぜひ住みたい」という気持ちで引っ越してこられる人が多いというのも納得できる、住みやすい街です。
―これからもぜひ、楽しいヨット人生を! 本日はありがとうございました。

1964年の発足当時、西宮港に置かれたクラブハウス

1964年の発足当時、西宮港に置かれたクラブハウス

第10代目の理事長・渡邊浩さん

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トローリングの大会でカジキマグロを釣りあげる

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単独太平洋横断に成功した堀江謙一氏は名誉会員

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新西宮ヨットハーバーの中にKYCのクラブがある

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クラブハウスから見るバースや海の眺望は最高

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ノボテル甲子園にて開催された、関西ヨットクラブ創立50周年記念式典

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■ 関西ヨットクラブ(K・Y・C)

西宮市西宮浜4-16-1
TEL.0798・26・0691 http://www.kyc.or.jp/


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目次 2015年5月号