神戸マツダ創業70年 「創新」を掲げ、新たな第一歩を

(株)神戸マツダ 代表取締役社長 
橋本 覚さん

―神戸マツダ70年の歩みについてお話しください。

橋本 弊社は1941年、有限会社神戸マツダモータースとして、中央区相生町に創業しました。その後、現在の兵庫区東柳原町に本社移転しました。戦後混乱のなかでの三輪トラックのヒットや、80年代のファミリアの大ヒットなどがあり、2010年には新車販売台数累計80万台を突破しました。オイルショックや阪神淡路大震災等の数々の苦難を、恵まれたマーケット、心温かいお客様や取引先、物事に真っ向から立ち向かう社員、そして三代に亘る経営陣の努力で何とか乗り切ってきました。
 現在、兵庫県下に「マツダの販売店」だけでも29の販売・サービスネットワークを展開しています。ジャガー・ランドローバー、フォードの輸入車店や部品センター・レンタカーの拠点を合わせると県内60拠点にも及びます。

―70周年を記念して打ち出した「創新」というコンセプトについてお話しください。

橋本 70周年と言うのは、実はきっかけでしかないのです。社長に就任して約10年、ずっと新しいコンセプトを考え続けてきました。この10年ほどは特にいろいろなことが不連続で起こり過ぎました。リーマンショックだったり、ECOカー補助金だったり、前年比が全く参考にならないような状況が続いていました。そんな中で「21世紀のトータルカーライフアドバイザー」や「アフターサービスカンパニー」というコンセプトを掲げ取り組んできましたが、もっと社員と共感できるコンセプトとは何だろうと、ずっと考えていたのです。
 そして70周年を迎えるにあたって思ったことが、そもそも経営の目的とは何なのか、将来のあるべき姿とはどんな姿なのかを考え、目的に向かう具体的な考え方と目的達成のために必要な細かな目標を定め、全社員と共有し、再スタートを切ろうと考えました。役員、社員からなる42名のプロジェクトメンバーで約半年間、議論を重ね、そこから「創新」というコンセプトが生まれました。

―「創新」で掲げられている5つの幸せとはどういったものなのでしょうか。

橋本 我々が達成するべき目的としてあるのが5つの幸せです。まずはお客様の幸せ、そして従業員とその家族の幸せ。そして取引先や関連企業など協力者の幸せ。地域に愛される店舗を目指す地域の幸せ。最後は社会・環境の幸せです。車を売るということは、それだけで事故の原因や、排気ガス排出の原因をつくり出しています。車を扱う企業である以上は、社会や環境に配慮することが使命だと思います。

―橋本社長が就任してからの、この10年を振り返ってどんな10年でしたか。

橋本 とにかく人々の消費行動が変わってきたと思います。購買力は限られていますし、買う以上は少しでも幸せな環境の中で買い物をしたいというお客様が多いと思います。その限られた消費のなかで、どれだけ満足してもらうかが大切なんだと思います。時代や嗜好がどれだけ変わっても、企業は幸せを提供し続けなければなりませんから。

―社員ひとり一人の自発性を促すために、研修に力を入れられているそうですね。

橋本 「企業は人なり」です。これは私の祖父である初代・父である現会長からもずっと言われていることです。私の代になって社員の誕生日には手書きの誕生日カードと小額のQUOカードを贈っています。現在社員数800人弱ですが、全員に誕生日当日に届くように贈っています。
 社員たちを前に私自身が講義を行う営業会議、層別研修や職種別研修、また以前の「社長塾」では、社員たちの自発性の喚起に役立つような内容になるよう心がけています。
 仕事では、一人ひとりが自分で考えることが大切です。お客様がご気分を害しておられたら、なぜかを考えなければなりません。先日もお客様の声のなかに目を惹く意見があったのですが、商談はお客様側がものすごくストレスを感じるという内容でした。割引はどれぐらいしてもらえるのか、オプションはどこまでつけるべきか、これからのローンの心配など、考えることはいっぱいです。お客様は最初は恐る恐るディーラーの門を叩きます。その時点でストレスを感じておられるのに、そこに追い打ちをかけるような雰囲気だとしんどくなってしまいます。このストレスを少しでも軽減していただくには、お店全体で考えていかなければなりません。お客様とのおつきあいは、買ってもらった時からスタートすると考えています。

―リサイクル事業などにも力を入れておられますね。

橋本 ディーラーとして他にできることは何かと考えた時に、カーリサイクルがあると思ったのです。カーリサイクル=再資源化ビジネスという自動車産業の重要事業です。廃車の時点でも車の内部には、約20もの再利用できるモーターなどの部品が残っています。それを潰してしまうのではなく、一つひとつの部品を丁寧に取り出すことで、リサイクル・リユース・リデュースのすべてにつなげていくことができるのです。これをやりはじめてまだ6年ほどですが、ディーラー単独でカーリサイクルもしているところは少ないと思います。

―今後、注目する新車や販売車などを紹介してください。

橋本 いま弊社が一番力を入れているのは、6月末に発売したデミオを皮切りにスタートした「スカイアクティブ・シリーズ」です。スカイアクティブとは無限の可能性を意味しています。
 まずデミオはガソリンエンジンを改良し、ハイブリッド車ではなくリッター30㎞を実現しました。そしてその次のアクセラはエンジンとトランスミッションを改良。さらに来年発売の第3弾となるCX-5はエンジン、トランスミッション、ボディ、シャーシを改良し、静かできれいなディーゼル車を実現しました。

―70周年を経て、これから100周年に向けての思いなどをお話しください。

橋本 まずは5つの幸せの実現を目指しますが、これには終わりはありません。内発的な動機によって自発的に行動する社員が育ってほしいと思っています。継続的に営業成果を出す為、熟達したプロフェッショナルであることが求められています。
 今のところは残念ながら人によっても店舗によっても大きな差があります。少子高齢化により車の販売台数そのものは減っています。社員の一人ひとりが目標を掲げることで、自分たちの目的を達成することができれば、5つの幸せの実現へと近づけるのではないでしょうか。

スカイアクティブ・シリーズ「デミオ」

スカイアクティブ・シリーズ「デミオ」

昭和26年頃の旧東柳原本社

昭和26年頃の旧東柳原本社

スカイアクティブ・シリーズ「アクセラ」

スカイアクティブ・シリーズ「アクセラ」

東日本大震災の被災地となった宮古市で、支援活動を行う神戸マツダのスタッフ

東日本大震災の被災地となった宮古市で、支援活動を行う神戸マツダのスタッフ

橋本 覚(はしもと さとる) (株)神戸マツダ 代表取締役社長

橋本 覚(はしもと さとる)
(株)神戸マツダ 代表取締役社長

橋本 覚(はしもと さとる)

(株)神戸マツダ 代表取締役社長
1961年生まれ。1985年一橋大学法学部卒業、同年住友銀行(現三井住友銀行)入行。ボストン大学にて国際銀行法学修士取得・ニューヨーク勤務等を経て1996年退職。同年㈱神戸マツダモータース入社。2000年㈱神戸マツダ代表取締役社長就任。2009年全国マツダ販売店協会副会長就任。


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目次 2011年12月号