100年の心と技

株式会社 カミネ 代表取締役社長 上根 亨さん

 

―7月7日に開催された「スイス・エクセレンス・VIP」についてご紹介ください。
上根 スイス産業を振興するという目的でスイスのUBS銀行が主催し、同銀行の顧客、主に企業のオーナーを対象にしたイベントです。ネスレはじめスイスの有名企業、アンチエイジング医療機関「クレニック ラ プレリー」、政府観光局などが協賛しました。クレニック ラ プレリーの高級ホテルに滞在するダイエットプログラムで提供される低カロリーな健康食、ただし非常に洗練されたおいしいフランス料理を楽しみながら、プレゼンテーションを聞くイベントでした。スイス産業といえば時計ですから、私も時計についての講演をしました。
―スイス時計の今の状況は?
上根 世界的にも見ても、スイスの時計は好調です。リーマンショック以降の立ち直りが遅いといわれる日本でも、特にパテック フィリップやロレックス、カルティエなどの高級品ほど、依然として人気があります。
―魅力は品質の高さでしょうか。
上根 精密で長年愛用できるのはもちろんですが、作り込みがしっかりしていますから、数年でデザインが陳腐化したり、経年劣化で使えなくなることもありません。機械式ですから、手入れをすればたとえ五十年、百年経っても、巻けば動き出します。
―スイスには素晴らしいマイスターがいるのですね。
上根 スイスには、技を弟子に伝承していくという文化的背景があり、環境が整っています。専門学校もあり、卒業後は時計メーカーに就職して生涯の仕事とします。スイスでは職人が誇りを持って時計づくりをしています。
―カミネのジュエリーの人気の秘密は?
上根 商品には、必ず私のフィルターがかかっています。隅々まで私がチェックをしておりますので、良い悪いは別として、それが店の個性になり、「カミネらしさ」が人気の理由になっていると思っています。
―ヨーロッパへは度々、行かれるのですか。
上根 買い付けや勉強に出かけています。日本正規高級時計協会の代表をしていますので、会員の方々と研修に行ったりもするので、人とのつながりもできます。
―ヨーロッパからもお客さまが来られるのですか。
上根 1年に1、2回は、自社の時計がどのように扱われているかを確認しに来ます。今まで、ほとんどが満足していただき、「日本なら神戸のカミネに」という高い評価をいただいています。
―現地で新しい時計や職人を発掘することもありますか。
上根 フランク・ミュラー、パネライなど、カミネが日本で最初に取り扱いを始めた時計ブランドが多くございます。リスクはありましたが、時代背景もあり、ほとんどがヒットしました。
―カミネの神戸の4店舗はそれぞれに特徴があるのですか。
上根 それぞれにテーマがあり、それに沿った商品構成と陳列をしています。トアロード本店はオーソドックスに、さんプラザ店は若い人向け、元町店はトレンディーに、旧居留地店はゆっくりお客さまとお話しできるスペースにしています。
―今後もイベントに参加したり、主催したりという予定ですか。
上根 時計を売るだけでなく、スイス時計の素晴らしさを皆さまにお伝えしたいという気持ちがありますから、今後も続けていきたいと考えています。
―105年という伝統の重みを感じる時は? 今後のカミネが目指すところは?
上根 重みを感じるというよりは、祖父が販売した時計を買ったお客さまのお孫さんが修理に持って来られたりすると、今後も長く続けなくてはいけないという使命感を持ちます。これからも、「お客さまのために全てを捧げる。」正統で個性的な品揃えを提供することで、世界にも通用するカミネにしていくことです。それが「カミネで買った」というお客さまの満足につながると思っています。

 

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左よりロジェ・ツビンデン氏(スイス大使館参事)、ディーター・ソンマーハルダー氏(スイス名誉総領事)、上根亨氏(カミネ)、マーティン・ストリッカ―氏(在日スイス商工会議所会頭)

左よりロジェ・ツビンデン氏(スイス大使館参事)、ディーター・ソンマーハルダー氏(スイス名誉総領事)、上根亨氏(カミネ)、マーティン・ストリッカ―氏(在日スイス商工会議所会頭)

 

上根 亨(かみね とおる)

株式会社 カミネ 代表取締役社長
1957年神戸市に生まれる。幼少時代から店に出入りし、父や時計職人たちの仕事に触れる。芸大出身で、アートにも造詣が深い。2001年、家業を継ぎ4代目店主になる。スイスとの太いパイプを持つ一方、全国のトップディーラーで構成された「AJHH」(日本正規高級時計協会)の役員も務める。


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目次 2011年8月号