世界へ羽ばたく感性の翼 手の温もりは、心の温もり

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大平千鶴子さん

 

71年前にマキシンを創業した渡邊利武はフランスのモードをこよなく愛し、マキシンはフランスから多くのことを学んだ。それから時は流れ、マキシンの帽子がフランスで開催された帽子の世界的コンテストで世界一の栄誉に輝いた。
その作品を生み出したマキシンのモディスト、大平千鶴子は、服飾デザイナーを目指しファッションを学んでいた頃に帽子と出会い、その華やかさに魅了され帽子づくりの世界へ。東京の老舗高級帽子店で皇室をはじめ日本のセレブたちのオーダーを受けていたが、縁あって6年前にマキシンへ。卓越した創造力と、進取的な発想力、そして確かな技術力を遺憾なく発揮している。
「帽子づくりは三次元の世界。立体で表現できるところが面白い」と語る彼女の手は、さまざまな素材を思い描いたスタイルへとごく自然に形へと昇華させる。世界一になっても「まだまだ創りたい物がある」と、その手は自由に感性の翼を羽ばたかせている。

 

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山口 巌さん

 

迷いがない。そして、丁寧で確か。マキシンの誇る神戸マイスター、山口巌の手の動きは素軽く、無駄がない。「技術に完き者は技術の意識を越える」とは柳宗悦の言葉だが、まさにその境地。ゆえに得られる完全な自由、言わば「無の境地」にある彼の手は、魔法のようにいとも簡単に形を生み出していき、その帽子は自然と美をまとう。
しかし、技術がすべてではない。「手の温もりで作られた帽子がお客様に求められて、安心して買っていただけるよう、半世紀以上の年月が経っても当時と同じことをやっている。それが私の一番の自慢」と語るマイスターは、「愛着が染み込んだ帽子をひとつずつ」と、熟練の技に奢ることなく丹誠込めて今日も手を動かす。その姿は、若いシャプリエたちの尊敬を集め、口数は決して多くないが、その手が多くの大切なことを伝えている。
マイスターの帽子は、温厚で誠実な彼の人柄そのもの。手は、すなわち心。その思想は、マキシンの物づくりの伝統でもある。

 

マキシン

〈トアロード本店〉
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目次 2011年8月号