大学に見る名建築 ③ 武庫川女子大学・甲子園会館

フランク・ロイド・ライトの建築思想を伝える

 

20150703101

 

(1) 和風の建築様式を取り入れた西ホール天井の市松格子
(2) 設計は、近代建築の三大巨匠・フランク・L・ライトの愛弟子・遠藤新による
(3) 至るところに細工が施される。
   どこから撮影しても「絵になる」のがライト建築でもある
(4) 遊び心を散りばめたタイル貼りのバーの床
(5) 打出の小槌のレリーフと水琴窟を思わせる音が楽しめる泉水
(6) 甲子園会館内のスタジオでは学生が勉学に励む
(7) 戦禍や震災にも耐えた威風堂々とした佇まい

 

 武庫川女子大学・上甲子園キャンパスにある「甲子園会館」は、昭和5年(1930)、世界的な建築家フランク・ロイド・ライトの愛弟子・遠藤新の設計によって、「甲子園ホテル」として竣工した。多くの著名人が訪れる社交場として賑わったが、戦時下には海軍病院となり、終戦後は進駐軍の将校宿舎へ。昭和40年(1965)、かつての景観回復を条件に当時の大蔵省から武庫川学院に譲渡され、大規模な改修によって甲子園会館として甦った。地震に強いとされてきたライト建築だけに、平成7年(1995)の阪神・淡路大震災ではわずかな被災ですんだ。
 ライト様式の意匠の中に、屋根には瓦を葺き、市松格子や打出の小槌のレリーフを随所に配置するなど、洋式建築に巧に「和」の要素が取り入れられている。建築学科の学生は、本物の名建築である甲子園会館を生きた教材として、実測図面や透視図を作成している。
 甲子園会館は、建築物としての価値が認められ、平成19年(2007)には経済産業省「近代化産業遺産」の認定を受け、平成20年(2008)には「BELCA賞」を受賞。平成21年(2009)には文化庁の「国登録有形文化財」に登録された。
 昭和から平成にかけての激動を乗り越えてきた甲子園会館。今日では教育施設として活用しつつ、歴史的建造物としての価値を広く知ってもらうため、見学会や、建物のライトアップイベントが行われている。

 

武庫川女子大学 甲子園会館

(上甲子園キャンパス)
西宮市戸崎町1-13
TEL.0798-67-0290(見学予約専用)


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目次 2015年7月号