登場!有馬を支える花板さん 三

兵衛向陽閣
総料理長
島本 信一 さん

もてなしの心が、料理の原点

派手ではない、洒脱だ。器を選び抜き、野の草花を散らした盛りつけは、蕪村の世界観を連想させる。もちろん味も秀逸。例えば鱧すき、だしがどこか力強い。尋ねれば、鱧の骨を焼き半日かけて潮汁を仕立て、それを鰹だしに合わせたとのこと。「見えないところで手間をかける。それが日本料理の基本です」と島本料理長。兵衛の伝統を守りつつ、研究を怠らず良いものは積極的に採用。昨年から無農薬の野菜づくりにも取り組むが、すべては「お客様のため」。
昭和59年に兵衛の板場へ、研鑽を積み料理長になった叩き上げだ。大旅館ゆえ、人員管理や食材確保など仕事も多い。しかし、常に初心を忘れず、今日も包丁を握る。

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目次 2011年7月号