WHAT IS IT? Vol.3「ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)」

文/永吉一郎

 

今年の1月に封切られヒットした映画「ソーシャル・ネットワーク」をご覧になった方も多いでしょう。しかしFacebook(以下FB)を知らずに観て「?」と思った方、結構いらっしゃったんじゃないんですか?ハーバード大の学生だったマーク・ザッカーバーグが学生のネットワーク作りのために立ち上げたFBが数年で世界を飲み込む巨大メディアになって行く物語です。最初は学生向けだったものが一般に公開されたのは2006年、世界のユーザー数は現在5億人を超えています。FB以外でもMixiやOrkut、Gree、Twitter、My Spaceなど世界には多くのソーシャルネットワーキングサービス(以下SNS)があります。そもそもSNSとは何者でしょうか。インターネットの世界で以前から存在した掲示板や後に出現したブログと言ったサービスを思い浮かべて下さい。誰でも書き込みや講読ができ、更にそれが極めて安価に(概ね無料で)提供されているもので、社会的なネットワークをインターネット上で構築できる物を言います。このサービスに多くのユーザーが参加することで意味を持つコミュニティとなり、結果的に伝達手段としてのメディアとして成立していきます。
私が実際にSNSを初めて目にしたのは2003年の事です。Orkutというサービスを友人から紹介され、早速登録してみました。。そして次の年に日本でMixiがサービス開始。最初に見たときにはなーんだOrkutのパクリやん、こんなのうまく行く訳ないと思いましたが全くの外れで、現在ユーザー数一千万人を超えるSNSになっています。そしてSNSの世界に新たな方法論を提示したTwitter。140文字でリアルタイムに情報共有できる事がメディアの価値観を変えてしまいました。従来の媒体社の様に放送・配達機能を持たなくてもユーザー間で直接リアルタイムな情報流通が起きる事を証明したわけです。
FBにしろMixiにしろTwitterにしろ、最大の特徴はネット上で他人とつながるという事です。距離や時間を気にせず好きな時に好きな事を書いたり写真をアップしたり他人の記事を引用するだけで多くの人と情報を互いに共有し、かつ知り合いが増えて行きます。特にFBは本名登録と本人写真の掲載を義務付けているので、この点が評価され世界的に広がったと言われています。
さて、これまでの話は個人の話ですが企業にとってはどうでしょうか。SNSの台頭は大きなチャンスであり、同時に大きなリスクと言えます。例えばSNS上でユーザーが企業の製品、例えば家電製品にについて評価し合う行為は日常茶飯事です。そこで評価が低かった場合、販売に悪影響が出ます。逆に評価が高いと説明不要の指名買いが増える訳です。インターネット上の情報で購買の判断をするユーザーは増えていますが、個人の自由な情報交換が行われるSNSではむしろそれを目的とするユーザーグループが数多く存在します。その他にも就職活動、映画や書籍の評論、政治における私見など多くの分野での影響が取り沙汰されており、近年それと上手く付き合う事でユーザーコミュニケーションに成功している企業や団体が数多く存在します。まずは参加してみては。ちなみに私のTweitterアカウントはbonzo_nagayoshi、FBは本名で検索すれば出てきます。それではまた次回!

 

代表的なSNS。左からFacebook、Twitter、Orkut..

代表的なSNS。左からFacebook、Twitter、Orkut..

 

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株式会社神戸デジタル・ラボ(KDL)
代表取締役社長 
永吉 一郎

 

1962年神戸生。広島大学卒業後京セラに入社、光学機器の開発に従事。国内外工場の量産立上げを経験。1991年父親の病死に伴い神戸に戻り日宣通の社長に就任。1995年阪神淡路大震災の経験を元にWEBシステム開発の神戸デジタル・ラボを設立、現在に至る。ICT推進協議会副会長、神戸市政策提言委員など歴任。


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目次 2011年7月号