日本で六大港全部に危険物のネットワークを持つ業者は、他には例を見ない

危険物の物流サービスなら おまかせ

株式会社 築港
代表取締役社長 
瀬戸口 仁三郎さん

―危険物の物流サービスということですが、主な取り引き先は?

瀬戸口 大半が石油化学関連メーカ、石油元売り、商社です。

―危険物に指定されているのは何品目くらいあるのですか。

瀬戸口 危険物にもいろいろあり、おそらく数万種類は下らないと思います。分かりやすいのは消防法でいうガソリンや軽油、高圧ガスなど、厚労省管轄の毒物・劇物など。それが一旦、船に乗ると海上法でいう危険物もあれば、諸外国で危険物といわれるものもあります。

―通関業務は大変ですね。

瀬戸口 化学に強く、税関業務に精通していなくてはいけません。また、情報や知識を受けられるように、日頃から税関とのコミュニケーションを取ることも大切です。
 当社は昨年「AEO(Authorized Economic Operator)」、認定通関業者の認定をいただきました。荷主、通関業者、運送業者それぞれが責任を持って危険を水際で食い止めることを目的とした制度で、全国で認定を受けているのは30社程度だと思います。それだけに、間違いなく正確にスムーズな通関業務が求められています。

―倉庫での保管方法や品質維持でもご苦労はありますか。

瀬戸口 種類によって保管する倉庫、積み方などが変わってきます。また最近は化学製品が高機能化し、品質保持が難しくなってきましたので、当社でも定温倉庫をそれぞれの倉庫に設置しています。

―運搬も業務ですか。

瀬戸口 港湾運送事業ですから、輸出であれば工場から出た品物を倉庫に保管しコンテナに詰めてコンテナヤードへ運ぶ、輸入であれば船からおろされた品物を倉庫で保管し最終ユーザーへ運ぶまで一貫して行っています。

―日本中の主な港にネットワークを持っているそうですね。

瀬戸口 日本には東京、横浜、名古屋、大阪、神戸、門司という6大港があります。危険物の玄関口でもありますから、それぞれの港に取扱い業者がいますが、当社の場合、倉庫や事業所を各港に持っていますので、お客さまが当社に依頼すれば、どこの港でも対応ができるというのが強みです。日本で六大港全部に危険物のネットワークを持つ業者は、他には例を見ないと思います。

―危険物を扱っていると国内、海外の生産活動が見えてくるそうですね。

瀬戸口 原油を精製してガソリン、軽油、ナフサなどを作り、さらに精製する過程でエチレン、キシレン、トルエンなどができ、さらに加工されてさまざまな用途で使われる溶剤ができます。どの製品がどれくらいどの国へ輸出されているか、どれくらい日本へ入ってきているかを見ているとある程度の予測がつきます。しかし為替や投機目的でも動きますから、日々情報を得る必要があります。

―大正13年、創業の経緯は?

瀬戸口 当時は、ガソリンや潤滑油などは全てドラム缶ではなく、木樽で輸入されていましたので、長い船旅の間にタガが緩んで漏れてしまいます。運送業者さんは皆、運ぶのを嫌がっていました。私の祖父が、皆から嫌がられているものに目を付けたんです。荷車の下におがくずやシートを敷いて運びました。石油から始まり、精製されたものになり…、輸出入される危険物の変遷とともに、当社が扱う商品も変わってきました。

―創業者からはどんなことを学びましたか。

瀬戸口 直接学んだということは思いつきませんが、「人間、嘘つかず真面目にやっていれば必ずいいことがある」と祖父は考えていたのだろうなと思います。それは本当だなと最近思っています。

―取引先の国によって危険物の法規が違い苦労されることは。

瀬戸口 全てを知るのはとても不可能ですから、経産省、税関、お客さまから情報をいただき、それを全社に周知させるように努力をしています。

―人材育成で努力していることは?

瀬戸口 非常に難しくなっている通関士資格を取るためにフォローしています。また危険物取扱者の資格は男女問わず全社員が取るようにしています。その他、港での作業にはいろいろな免許がいりますので逐一対応しています。

―この仕事にはどういう人材が向いているのでしょう。

瀬戸口 コミュニケーションが取れることが重要ですから、学生時代に机にかじりついていた人は向いていないでしょうね。相手の気持ちを思いやり、自分の気持ちを伝えられる人です。これができないと、当社に限らず、社会で通用することは難しいでしょう。

―今の若い人はコミュニケーションが下手といわれますが…。

瀬戸口 彼らの価値観や興味の対象を知ろうとせずに、一方的にこちらから価値観を押し付けたのでは、「どうせ分かってくれない」と黙ってしまいます。年上の私たちが歩み寄って、話しを投げかけていくと、意外と彼らはよく喋ってきます。「AKB48は…」などという話題もできるくらいでないと(笑)。もちろん加減が難しいところで、怒るときは怒るというのも大切ですけどね。

―これから世界のネットワークを目指すにあたり、まず中国ですか。

瀬戸口 当社が輸出入で扱っている石油化学製品の4~5割が中国とその周辺諸国に占められています。中でも中国です。当社も3年前に上海に現地法人を立ち上げました。何度も現地に行き、あの発展ぶりを見れば、中国を外しては考えられないですね。中国にはまだまだ伸びしろがあります。

―今でも神戸に本社を置いているメリットは?

瀬戸口 営業的にはメリットはほとんどないです。東京へ移転しても問題はないでしょう。しかし、創業以来80年以上、当社は神戸に育てていただきました。震災後も神戸港とともに復興に努めてきました。私も神戸で生まれ育ち、この町も港も好きです。神戸の町がもっと良くなってほしいので、将来もずっとこの町にかかわっていきたいと思っています。

―今後、目指すところは?

瀬戸口 危険物取り扱いという本業を外して考えるつもりはありません。そこから派生して、事業の幅を広げていき、「危険物のよろずや」を目指したいと思っています。
―今後も神戸で頑張り、この町のためにご尽力よろしくお願いします。

築港が輸出入で扱っている石油化学製品の4~5割が中国とその周辺諸国に占められている。3年前に上海に現地法人を立ち上げた

築港が輸出入で扱っている石油化学製品の4~5割が中国とその周辺諸国に占められている。3年前に上海に現地法人を立ち上げた

創業以来80年以上、神戸に本社を置く。阪神・淡路大震災後も神戸港とともに復興に努めてきた

創業以来80年以上、神戸に本社を置く。阪神・淡路大震災後も神戸港とともに復興に努めてきた

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瀬戸口 仁三郎(せとぐち にさぶろう)

株式会社 築港 代表取締役社長
神戸高校卒。日本大学卒。47歳。昭和61年(株)築港入社、平成2年に代表取締役社長に就任現在に至る。
平成11年、社団法人神戸青年会議所理事長を歴任。
神戸市東灘区在住。趣味はゴルフ


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目次 2011年6月号