福祉のまちを目指して シリーズ The welfare city “KOBE”

お腹の赤ちゃんの命を助ける一円玉
「円(えん)ブリオ基金」について

20130706801
お話をうかがった方/
岡田 寿美さん 〈円ブリオ神戸事務局長〉
岩井久美子さん 〈兵庫ほっとスポット代表〉
岡本 佳鼓さん 〈円ブリオ神戸事務局〉

「産みたい」を支援したい

―円ブリオとはどういう意味ですか。
「embryo(エンブリオ)」というのは、妊娠8週未満の胎児のことです。赤ちゃんは、1円玉と同じ約1グラム、一口1円の募金によってお腹の赤ちゃんと産みたい女性を応援しているのが「円ブリオ基金」です。1円玉の「円」や「縁」をかけて「円ブリオ」と名付けたのは、元NHKアナウンサーの鈴木健二さんです。
円ブリオ基金の活動は、東京に本部のある「生命尊重センター」が、1992年に設立した胎児応援ボランティア基金からスタートしています。センターは、インドのマザー・テレサが来日した際に「日本は経済的に豊かな国ですが、中絶が多いのは、心の貧しい国です」と言われたことに心を打たれた仲間が集って立ち上がった活動です。円ブリオ基金によって、これまで415人、兵庫県内では12人の赤ちゃんが支援されました。そのほか、妊娠や子育てに関する悩みを相談するための「ほっとライン」などを開設しています。
「円ブリオ神戸」は、円ブリオ基金センター、生命尊重センターと連携して、兵庫県支部として活動を行うボランティア団体です。毎年一回の講演会を開催したり、地域のお母さんたちが集まっての交流会や、子育ての勉強会を開くなどしています。
誤解されがちですが、私たちは「中絶に反対する団体」ではありません。突然の妊娠に驚き、すぐに中絶の道を選んでしまうのではなく、まずは相談することによって、ちがう道を選択できるということをお伝えしたいのです。実際に、「ほっとライン」に相談していただいた結果、円ブリオ基金の支援を受けた方もいますし、公的な補助について助言を受けたり、出産を周囲に反対されていた方が初めて「おめでとう」という声をかけてもらった、親にも言えず悩んでいたけれど勇気をもらったという声もありました。経済的な支援だけでなく、気持ちの上での応援も、大きな役割となっています。
円ブリオ神戸では、関西での「赤ちゃんポスト」設置に向けての活動も行っています。熊本の慈恵病院に開設された「こうのとりのゆりかご」は、大きな話題となりましたが、このポストの設置についても、私たちは「産んで預ければ良い」ということではなく、「託すという選択肢もある」ということを広めることによって、「すぐに中絶」という考えを無くすことができるのではないかと考えて活動しています。実際に、熊本の「ゆりかご」には、本当にたくさんの妊娠や出産についての電話相談が、全国から寄せられていて、看護師さんは徹夜で電話に対応して相談を受けている状態なのです。関西にも開設することによって、相談窓口が広がり、困っている妊婦さんをより多く助けられるのではないかと思っていますが、実現に向けては、なかなか困難な道のりです。

“命の教育”を大切にしたい

―出産前に血液検査によって赤ちゃんを診断する「出生前診断」については。
心の準備や治療のための診断は必要です。けれども「命の選別」につながりかねない安易な診断については、私たちは反対の立場をとっています。今の日本では、重い結果を受け止める妊婦が相談をしたりサポートする体制がまだまだ整っていません。検査だけが先行しているのが現状ではないでしょうか。私たちも勉強会を開いて学んでいますが、基本的には、命は授かるもの、与えられたものという思いを取り戻したいというのが強い思いです。
現代では、“命の教育”が、失われていると思います。さまざまな問題が指摘されている「子宮頸がんワクチン」についても、私たちはワクチンよりも「教育」が重要だと考えています。人間が生まれること、赤ちゃんが生まれることは奇跡です。両親、祖父母、総祖父母、たくさんの命がつながって今の私たちがいます。女の子に生理が来ることは、そんなすばらしい命をつなぐもとが女の子にできるということ。ですから女の子には自分の身体を大事にしなさいと、男の子には、命をつなぐ女の子を大切にしなさいということを、両親が教えられる「命の性教育」が、大切なのではないかと思っています。
私たちの活動の底には、「命を大切に思う」ということがあるのです。

円ブリオ神戸主催・第16回いのちの講演会「赤ちゃんが生まれて一番幸せな国へ!」より。講師の井上雅夫先生(同志社大学文化部教授)、永原郁子先生(マナ助産院)を囲んで

円ブリオ神戸主催・第16回いのちの講演会「赤ちゃんが生まれて一番幸せな国へ!」より。講師の井上雅夫先生(同志社大学文化部教授)、永原郁子先生(マナ助産院)を囲んで

妊娠SOSほっとライン(生命尊重センター)

 20130706902 0120-70-8852
 (火・木曜10:00~17:00)

円ブリオ神戸事務局

 TEL.06-6421-0065
 http://embryo.homepagelife.jp/


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目次 2013年7月号