わたしの神戸デザイン 第2回

「ここでしかできない楽しいことを始めよう!」

株式会社ポトマック代表取締役 金指光司さん

一軒のカフェから始め、現在は関西・首都圏に38店舗を展開する㈱ポトマック。〝ゆるさ〟や〝楽しさ〟が好きという代表取締役の金指さんは、今や神戸をリードする若手実業家の一人。事業展開のスタンスや神戸の街への思いをお話しいただいた。

神戸は〝こじんまり〟した街です。人口も少なく、同じことを続けていてもすぐにバッティングしてしまいます。もちろん「TOOTHTOOTH」ブランドが基本ですが、レストラン、カフェ、物販など何か新しいことやおもしろいことを展開していかなくては商売が成り立ちません。幸い「この場所で、この場所でしかできない、何かおもしろいことをご一緒しませんか?」というリクエストを多くいただき、キャンバスに絵を描くように楽しい場所を造らせていただいています。

〝衣食住遊〟の融合はごく自然なこと

飲食とサブカルチャーの融合がクローズアップされるようになったのは、柴田書店MOOKの「ダイニング」という雑誌で、新しいムーブメントの企業が取り上げられた頃からだと思います。登場する企業がこぞって、レストランシーンを「衣食住遊」総合してとらえていました。私は昭和38年生まれですが、登場するほとんどが同年代の人たちです。音楽やファッションなどいろいろなものが大量に溢れ出てきた豊かな時代に、それを当たり前のように味わってきた世代です。食べるものだけではなくて、ファッション、音、空間、サービス…、あらゆるものがトータルに揃って「豊かさが存在する」と無意識のうちにインプットされ育ってきました。
中でも、音楽はなくてはならないものです。ほとんどのお店が有線かCDを使っています。けれど、有線は一日中ローテーションですから飽きてしまいます。ボサノバのイメージの店内にアルバイトの趣味でロックを流されてしまっては台無しです。
私たちが自社の音楽レーベルを立ち上げた当初は、東京から関西に進出してきた店舗のサポートが主でしたが、関西の商業施設からの依頼も増え、音楽をコーディネートするビジネスもスタートしました。神戸初だと思います。カフェやレストランに限らず、百貨店や駅ビルなどでの依頼も多くなってきました。コンセプトに合った音楽をどう提供すればいいのか、皆さん苦慮されていたのだと思います。

自分がワクワクすることは、お客さんにとっても楽しいはず

うちは会社と呼ぶのもおこがましいほど体力のない〝会社〟です。立ち止まっているわけにはいきませんから、「何かいいことないか?」と一日中考えています。「カッコいい!」「美味しい!」「楽しい!」という気持ちになりたくて、海外へもよく出かけます。その〝ワクワク〟を持って帰って、神戸、そして日本で再現したいと思っています。
ニューヨークへはしばしば行き、ショップやレストランの写真を勝手に撮って、逃げます。(笑)西海岸へは最近初めて行きました。最高ですね! 帰って来て、旧居留地に西海岸をコンセプトにしたユルト(YURT)というカフェをオープンしました。若い世代がクリエイティブできる場所の一つです。メーカーさんとのコラボレーションフェアなど、いつも何かを開催しています。同じく旧居留地のBAR&BISTRO64では、訳の分からない(?)イベントを常にやっています。例えば、店内全てがインドになる「ガンダーラフェア」や、メニューまで全てがプロレス絡みの「プロレスフェア」等など。お客さんにもウケています。飲食業も遊びと融合すれば、面白いんやなあと…。仕掛けるほうが楽しければ、お客さんも楽しいはずです。

素晴らしい資産を生かす可能性を秘めた街

神戸の街には素晴らしい資産といえるものがたくさんあります。例えば、ここメリケンパークのフィシュダンス。世界的建築家のフランク・ゲーリーが設計、安藤忠雄さんが誘致した芸術作品なんです。海外からもゲーリーの作品を見に来る人がいるくらいです。ところが、うちがここへ来るまでしばらく廃墟のようになっていました。ポートタワーも神戸のシンボルとしてレトロモダンなプロデュースをしたらいいものになると思います。六甲山には歴史的建造物がいっぱいあります。たくさんある企業の遊休地を利用してリゾートとして使えば、「行ってみたい!」と思う人がもっと増えると思います。僕が好き場所の一つ、相楽園で「瞑想ナイト」など開催したらどうでしょう? これは僕が勝手に妄想しているんですがね(笑)。
その他いろいろ、まだまだ可能性を秘めた街です。ロックフィールドの岩田社長やシスメックスの家次社長はじめ、元気な企業のアイデアマンがたくさんいらっしゃいます。頑張って欲しいです。私は大したことはできませんが、できるだけのお手伝いをしたいと思っています。

〝神戸〟ブランドのイメージを大切に
私たちは神戸で生まれ、神戸に育てていただきました。観光のお客さん皆が「もう一度来たい」と思えるお店づくりをすることでお返しができればと思っています。そういう意味で、レストラン「オルフェ」がミシュラン一つ星を取ったことは私たちにとってうれしいことです。しかし、喜んでばかりもいられません。全国からお客様が来られて、望まれるレベルがより高くなったことを実感しています。より洗練されたお料理とサービスを提供しなくてはいけません。毎日が真剣勝負。スタッフにとっても良い刺激になっています。
〝神戸〟というブランドイメージには高い価値があります。ちょっとしたことで傷ついてしまってはもったいないです。大切に守っていきたいと思っています。

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金指 光司(かなさし こうじ)

株式会社ポトマック 代表取締役
1963年 神戸市出身。86年、神戸・元町のトアウエストに「ランチョンバー トゥーストゥース」を創業。95年1月、阪神淡路大震災で被災。同年4月、「ブラッスリー トゥーストゥース」として再スタート。99年5月、株式会社ポトマックへ組織変更ならびに社名変更。人々の欲求と好奇心をくすぐる感覚で、時代の半歩先を見据え、一つのブランドに固執せず、多彩なカフェ・レストランブランドを誕生させた。2010年10月現在、神戸・大阪・首都圏に38店舗を構える


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目次 2011年4月号