インタビュー 景勝の地のホスピタリティー

神戸マリンホテルズ株式会社
シーサイドホテル舞子ビラ神戸
代表取締役社長 森重喜三雄さん

―明治27年に有栖川宮別邸として建てられましたが、今も面影が残っている所は?

森重 日本庭園の姫小松と、その向こうの海、淡路島の景観は当時とほとんど変わっていません。

―舞子ビラ神戸のモットーは?

森重 市民の財産であるこの由緒ある場所を、ホテル業で維持管理をしようというのが舞子ビラ神戸です。市民の皆さんに自由にお庭を楽しんで頂きリーズナブルな価格でご利用いただくだけでなく、他所からやって来る方にも神戸の良さを発信する場所になればいいと私自身は思っています。

―特に力を入れているのはウェディングですか。

森重 フル装備の多機能型ホテルとして宿泊、宴会、婚礼、レストランの4本柱で運営しています。その一つのウェディングにももちろん力を入れています。当ホテルには本館、別館合わせて約250の客室があり、2年前に別館58室のリニューアルを終えました。さらに今年から、お客さまにご迷惑のかからない閑散期を選び3年計画で本館約190室に取り掛かりました。より質の高いくつろぎの空間を提供しようと考えております。

―社長は日本企業のホテルから外資系ホテルへとキャリアを積んでこられましたが、その経験は生かされていますか。

森重 外資系ホテルはGMが権限を持ちトップダウンの運営形態を取っています。それは、日々動いているホテルでは中長期というより、短期間で状況を見ながらの即断即決が重要だからです。同時に、従業員ベースで、横の関係をシステム化しコミュニケーションする会議形態を取っています。例えば、毎朝のブリーフィングでは各セクションの責任者が集まり情報交換をします。2~3カ月に1回、全従業員に向けて社長から今の会社の状況を直接伝えます。月に3~4回は、逆に従業員からの声を引き上げようと、各部門から10名ほどピックアップして、総支配人と総務担当者を交えた会議を行っています。

―神戸市の第三セクターとして、まず市民サービスを念頭に置いて考えているのですか。

森重 バイキングなどの地域密着型のイベント開催では市民のお客様を意識しています。宿泊の場合は、このエリアだけでなく広い地域からのお客様に来ていただかなくてはいけませんから、マーケティングの方法も少し変えています。

―景勝の地にあるホテルですが、遠方のお客さんにはどんな方法で広報していますか。

森重 インターネット時代ですから、きちんとしたホームページを作り込んでいます。神戸以西、明石・加古川・姫路のお客様は多いのですが、最近では大阪・関東・九州方面のお客様向けにも新聞などで広報しています。それだけでは平日の稼動率が上がりませんので、中国、韓国はじめ東アジア諸国対象のツアーも積極的に受け入れています。この景観は日本人、外国人問わず「素晴らしい」と言っていただいています。

―お料理も美味しいと評判ですね。

森重 より安定した価格で良い食材を仕入れるシステムを強化しています。私たちも関与しながら、料理長に権限委譲して一定の価格帯でお客様に喜んでいただけるメニュー構築を行っています。お陰さまで金土日と昼の時間帯はお待ちいただくほど好評です。ただし平日の夜はちょっと苦戦気味というのが現状です。

―近くの垂水や明石の昼網も利用していますか。

森重 基本は地産地消ですが、全部となるとコストが高過ぎるので、うまく取り入れるようにしています。4月1日から「有栖川」で、垂水漁協さんと組んだリーズナブルな「神戸漁港昼網御膳」を提供しています。その食事付き宿泊プランも始めました。

―「五感が潤う」宿泊プランというのもありますね。

森重 フットテクノの藤田稔社長さんから、「オリジナルで開発したサーキュエッセンスという香りを活かした脳を活性化させるプログラムと組めないか」とお話しいただき、宿泊プランを共同で開発しました。さらに1階玄関横では、「ワンズ・ヌーボー」というお店で酸素バーや物販などもやっていただいています。

―今年度の目標は?

森重 ホテル業はホスピタリティー業です。ここに来ていただいたお客様に、いかに憩っていただき元気になっていただくかを強化していきたいと考え、全従業員のレベルアップのための教育に力を入れていきます。私自身もこのホテルに着任した時の初心にかえり、「日本のおもてなしの心と外資系のシステムの融合」というミッションに取り組んでいきたいと考えています。

 

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森重喜三雄 (もりしげ きみお)

神戸マリンホテルズ株式会社 シーサイドホテル舞子ビラ神戸 代表取締役社長
1955年西宮生まれ。関西学院大学法学部卒。大阪全日空ホテル、ハイアット・リージェンシー・大阪をへて、シーサイドホテル舞子ビラ神戸代表取締役社長。現在大阪学院大学経営学部ホスピタリティ経営学科専任教授も兼任。著書に「新ホテル運営戦略」編著「ホテル・ビジネス・ブック」共著。


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目次 2011年4月号