緑に抱かれた美しい庭園を誇る「香雪美術館」

村山龍平が後世に遺そうとした古美術 香雪美術館

 明治12年(1879)、村山龍平(- りょうへい)は上野理一とともに朝日新聞を創刊、以降も発展に寄与し、日本を代表する新聞に育てあげた。一方で村山は、岡倉天心らが参加した古美術研究雑誌『国華』の発行を援助するなど美術にも深い関心を寄せ、自身も日本・東洋の古美術を多く蒐集した。
 香雪美術館は村山が蒐集した美術品を収蔵する美術館として昭和48年(1973)に開館。「香雪」とは、村山の号である。所蔵品は絵画、書、仏教美術、茶道具、武具など幅広いジャンルにわたり、重要文化財が18点含まれる。
 村山が求めた美術品は、何よりも「後世に遺す意義を第一に選ぶ」という考えであったという。村山は伊勢・玉城町の、由緒ある武家の出身。家業を処分したのち大阪で貿易商として成功し、現在美術館のある御影の地に邸宅を構えた。当時の実業家たちの屋敷には必ず茶室が造られ、海外の客人をもてなしたり、財界の仲間と茶の湯の席で、古美術を鑑賞したりした。藪内流の茶を学んだ村山は、のちに茶の湯の会を発足させるまでに茶を愛し、そんな彼が蒐集した茶道具の中には名品、珍品が多い。
 収蔵品は春と秋のコレクション展で公開されるほか、美術館では優れた日本美術を紹介する「企画展」を開催し、美術文化の向上に貢献している。

「竹の美 茶道具を中心に」

●会期 10月31日(土)~12月23日(水祝)
※作品保護のため、一部展示替えを行います
●休館 11月18日(水) 
竹は古来より身近でなじみ深い植物です。四季を通じて真っ直ぐに育つことから吉祥の象徴として画題に取り上げられてきました。竹を使用して作られた作品を、茶道具を中心に紹介します。

<梅園会(講演会と茶会)>

12月5日(土)講演13:00~
茶会15:00~
講演「意外と楽しい文人画」河野元昭
(京都美術工芸大学学長)
定員50名(応募多数の場合は抽選)
参加費 3,000円
往復はがきにて事前申し込み制
●締め切り11月6日(金)必着

<ギャラリートーク:作品解説>

会期中の毎週土曜日、午後2時から学芸員によるギャラリートークを行います。
※ギャラリートークの聴講は無料ですが、別途展覧会の鑑賞券が必要です。

立礼茶室「梅園」。村山は茶の湯を愛した

立礼茶室「梅園」。村山は茶の湯を愛した

村山龍平の多岐にわたる古美術コレクションを収蔵

村山龍平の多岐にわたる古美術コレクションを収蔵

朝日新聞を創刊した村山龍平

朝日新聞を創刊した村山龍平

《唐物 利休丸壺 茶入》南宋時代 重要美術品 ※今展では展示していません

《唐物 利休丸壺 茶入》南宋時代 重要美術品 ※今展では展示していません

《千利休 籠花入 銘「桂川」》桃山時代 利休が鮎漁の魚籠を掛花入とし、のちの 赤穂浪士討ち入り事件にもゆかりがあるという言い伝えのある品

《千利休 籠花入 銘「桂川」》桃山時代
利休が鮎漁の魚籠を掛花入とし、のちの
赤穂浪士討ち入り事件にもゆかりがあるという言い伝えのある品

《青磁 筝 花入》南宋時代

《青磁 筝 花入》南宋時代

青木木米《群仙図 四方鉢》江戸時代

青木木米《群仙図 四方鉢》江戸時代

柳沢淇園《雪竹鵯図》 江戸時代

柳沢淇園《雪竹鵯図》
江戸時代

20151105506

香雪美術館

神戸市東灘区御影郡家2-12-1
TEL.078-841-0652
■開館 10:00~17:00(入館は16:30まで)
■休館 会期中無休 (展示替休あり)
■料金 大人700円 高大生450円
    中学生以下無料 (各団体料金あり)
      ※特別展につきましては、別途料金を定めます
■HP  http://www.kosetsu-museum.or.jp/ 


ページのトップへ

目次 2015年11月号