姫路市に本社、本社工場を構えるグローリー株式会社

時代をリード キラリと光る

グローリー株式会社 会長 尾上 壽男 さん

 

グローリー(株)は昭和25年に国産初の硬貨計数機を開発し、当時の大蔵省造幣局に納入したのを皮切りに、時代をリードする研究開発の道を歩んできた。創業者の「求める心」を持ち続け、「みんなの力」を結集すると言う精神はおよそ100年の時を経て今も受け継がれている。

 

―少年時代から、将来は自分が会社を継ぐという気持ちはあったのですか。
尾上 国栄機械は三井造船の下請けをしていましたから「大変だな」とは子ども心にも分かっていました。昭和33年頃に、うちが自動販売機を発売した当時も私はまだ学生でした。新しいことを始めるということは失敗の連続ですから、最初は大変だったようです。
 例えば煙草の自販機は60円なら10円玉6枚入れるとレバーが引け、製品が出るというレベルから出発し、世の中の進歩と一緒に製品も進歩してきたといえるでしょうね。私自身がこの会社を背負ってやっていこうと思うようになったのは、入社してからだったと思います。

 

―研究と技術開発に力を入れていますが、研究者はたくさんいるのですか。
尾上 グループ全体では約800名の技術者・研究者がいます。電気科、機械科等の出身者が多く、ソフトに関しては女性も多く活躍しています。

 

―開発した製品を売り込みに行くのですか、それともオーダーを受けて開発するのですか。
尾上 現在は市場ニーズをもとに最先端技術を用いて開発しています。さらにユーザー毎にカスタマイズもしていますね。当社の主力商品「WAVEシリーズ」も、当初は硬貨・紙幣計算機、包装機などの単機能製品を接続してシステムとして買ってもらっていました。昔は銀行をはじめ金融機関では、テラーや外交員の手許現金を現金元方が管理し、集まった紙幣や硬貨を数えたり、包装したり、伝票を手書きしたりしていました。1円でも収支が合わないと夜中まで仕事が終われないなどと言われた時代です。その手間を省こうと開発を始めたのがWAVEシリーズです。現金が多過ぎたり、足りなかったりを一切無くそうというものです。テラーや外交員がカードを使って入金、出金するとその内容が分刻みで記録され、機械に現金が貯まれば紙幣は帯封され、硬貨は包装されます。社員皆が力を入れ年月かけて研究し、だんだんと改良を重ねた結果、ここまでになり、当社の売り上げの主力を担っています。硬貨を包装したものを保管したり、現金精査などの機能を開発してから、さらに効率化が可能になり、金融市場シェア約70%にまで伸ばしました。さらに、銀行の窓口向けに紙幣と硬貨を同じ場所に入れられないかという要望に応えて、紙幣・硬貨入出金機なども開発しました。

 

―私たちが日頃、目にするものではありませんが、銀行業務の正確さとスピードアップに貢献しているのですね。ここに至るまでに重要視してきたことは?
尾上 銀行業務がどう変わっていくかを把握し、お客さんのニーズを先取りすることです。それに対して研究者や技術者が如何にやる気になるかが重要なポイントですから、「失敗してもいいから何でも挑戦していくように」と常々言っています。

 

―東京へ本社を移す企業が多いなか、グローリーは姫路で頑張っていますね。
尾上 本社が姫路にあるから姫路を中心に事業をしているというわけではありません。研究開発や製造の拠点は全国各地に置いていますし、販売の中心になる東京には営業本部を置いています。たまたま姫路発祥の会社で、この地に拠点があるということです。

 

―海外にも多く拠点を置いていますが、国が違えば、お金も違うので大変なのでは?
尾上 本質的に紙幣や硬貨を数える方法は同じで、ハードウエアの部分はほぼ共通です。どう識別するかは各国向けにソフトウエアで対応しています。国によっては、通貨の材質や大きさがかなり異なっていたり、日本と違い流通状態も悪いので、設計者は苦労しています。

 

―今はICカードの時代ですが、どのように対応していますか。
尾上 社員食堂システムで栄養や値段を組み込んだICタグを食器に入れ、瞬時に電子マネーで精算できる製品などを開発しています。
 将来はICチップを紙幣や、いろいろな部品に入れることなども考えられます。まだまだ製造コストや小型化など問題もありますが、実現すれば偽札対策になりますし、在庫管理の簡素化が可能になると期待しています。

 

―新たに進めている研究はありますか。
尾上 人間の顔を識別する技術を研究していますが、今のところヒット商品はないですね(笑)。将来の顔を予測するシステムを展示したところ好評でしたが、残念ながら実際に買おうというお客さんはまだあまりいません。電子看板を見ている人が、年齢、性別など、どういうタイプの人かを識別する機械は一部で実用化し始めています。

 

―今後更に、どういう企業として成長していきたいですか。
尾上 メーカーですから、作った製品が信頼されることが第一です。皆さんの生活に置き換えれば、例えば冷蔵庫が故障してメーカーに連絡しても「1週間待ってくれ」と言われたら困りますね。何かトラブルがあった時のメンテナンスは「早く、正確に」が重要です。グローリーでは、30分メンテナンスをモットーに全国約100カ所にメンテナンス拠点を置き、信頼される会社を目指しています。

 

―人材育成は重要ですね。
尾上 これは永遠のテーマですが、基本的には仕事を通じて覚えていってもらうしかないでしょうね。育ててもらうのではなく、自分自身で育っていく姿勢が大切です。そのためには、能力の120%ぐらいの仕事を任せると効果的です。現在、グローリーでは海外にも販路を広げ、全売り上げの30%にしようという目標を掲げています。これを実現するには人材育成が、今後の課題だと思っています。

 

―グローバル化で大切にすることは?
尾上 お客さんのニーズに合った商品を提供することです。ニーズを引き出すには、英語で対応できなくてはいけません。現在は海外に通用する人材教育に力を入れています。

 

―海外に競争相手はないのですか。
尾上 通貨処理機メーカーは海外にもありますが、ニーズに合わせていろいろな種類を持っている企業は少ないですね。ここ数年、海外のATMでも出金だけでなく入金機能も備えるようになり、当社の入金ユニットを搭載するATMも増えています。そういう中で中国は驚異です。一時の日本のように、追いつけ、追い越せという勢いがあります。

 

―月刊神戸っ子の今年の特集は「発信!デザイン都市」です。製品のデザインはどのようにしているのですか。
尾上 デザインも社内で行っています。銀行内で使う機器は、他の機器と合わせていかなくてはいけませんから色も主に白やグレーに統一しています。でも、たばこ自販機や券売機、両替機などは自由でオリジナルです。

 

―他にも、私たちが目にする機器はありますか。
尾上 スーパーなどのレジで使われているつり銭機です。元々は硬貨を受け取り一括に収納し、つり銭を出す機器を作っていましたが、紙幣も同じようにできないかと要望があり、どちらも扱える商品を開発しました。大手スーパーをはじめ、コープこうべさんには初期段階から導入いただいています。レジつり銭機は硬貨紙幣併せて累計で約24万台販売しています。他にも台数の多い製品は世界中で使われている紙幣計算機がありますが、これは、埼玉工場で検査だけを人間が行い、そのほかは製造から荷造りまでロボットが担当しています。これがなかなかおもしろくて、工場見学も好評です。

 

―多くの肩書きを持ってお忙しい尾上会長ですが、気分転換の方法は?
尾上 昨年11月に姫路商工会議所会頭を辞めましたから、これからは肩書きも少しずつ整理していこうと思っています。気分転換はゴルフくらい…、以前は毎朝4キロくらいのウォーキングをしていたのですが足を痛めてしまい、最近は休んでいます。

 

―今年は姫路でB-1グランプリが開催予定です。たくさんの人が訪れますね。
尾上 前に姫路菓子博が開催されましたが、リピーターが少なかった。その反省から、今回のB1グランプリは来訪者が三、四十万人とも言われておりますので、魅力ある姫路をアピールし、リピーターが増えることを期待しています。

 

インタビュー 本誌・森岡一孝

 

オープン出納システム「WAVE700シリーズ」

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グローリーの歴史を紹介する「GLORY NEXT GALLERY」

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たばこの自動販売機は、古くから親しまれてきた

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尾上 壽男(おのえ ひさお)

昭和10年生まれ
昭和34年 中央大学理工学部精密工学科卒業
昭和36年 株式会社国栄機械製作所
(現グローリー(株))入社
平成 元年 グローリー工業株式会社代表取締役社長
平成 4年 科学技術庁長官賞(科学技術功労者)受賞
平成13年 グローリー工業株式会社代表取締役会長
平成18年 グローリー株式会社代表取締役会長
平成16年~平成22年 姫路商工会議所会頭


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目次 2011年3月号