Ecole CPのエントランスでは、洋菓子づくりに励む生徒たちの姿が

わたしの神戸デザイン 第1回

「国際都市神戸で、世界に通じる人材を」

Ecole CP・学校法人育成学園
理事長 学校長  植木砂織さん

食のスペシャリストが学ぶべき環境が整った神戸に開校

神戸は調理師の地位向上にとても力を入れている都市です。あらゆるジャンルの料理の団体がまとまってあります。先代の理事長が、兵庫県庁の近くに神戸国際調理師学校を開校したのが昭和60年のことです。下山手通りの山と海の両方を望める素晴らしい環境は、食文化を伝えるための学び場としては最高のシチュエーションでした。さらには周辺には様々なジャンルのレストラン、お菓子屋さんがあり、国際都市神戸に相応しい環境が揃っていたのです。
国際色と食文化にこだわり、開校以来、ヨーロッパ各国との提携を積極的に進めています。当時は専門学校にしては珍しく、制服のある学校でした。調理と製菓の職人を育てるのと同時に、社会人としての礼儀や身だしなみを教えるのも、学校の役割だと思っています。神戸には各国の料理があり、一流のホテルも集まっています。国際的に通用する人材を育てていきたのです。
食は心であり、絆であり、文化です。自分が作ったものを誰かに食べてもらう喜びから、食を通じて心が通じ合います。誰かと食事に行くことで親しくなり、絆が生まれます。先人から受け継いだ料理文化を、次の世代に伝えることも大切です。食の重要性は、食に携わる我々が一番理解していなければなりません。食を通じて社会貢献のできる人材、技術はもちろんのこと、安全安心の知識を持った、「食育」のできる調理師・製菓衛生師を輩出していかなければならないと思っています。

人を育てる街神戸に感性豊かな卒業生を輩出

神戸は素材の宝庫です。老舗の商社も多く、良い素材が揃うのです。作る人と食べる人、そして批評する人がバランス良く食に関わることで、技術も高まっていきます。だから神戸には様々な地方から学生が集まって来ます。神戸で学び、神戸で就職をしていく学生が多いのです。しっかり就職の世話をすることが、専門学校の務めですから。我々規模の学校だと、学生と先生が近い距離で接することができます。住む家から、アルバイトなど、ひとり一人の相談に乗ることができるので、地方から来る学生も安心できるのだと思います。
就職まで世話する以上、学生たちにとってはここが最後の学生生活になります。だからこそ楽しんでほしいと思うのです。放課後の過ごし方やアルバイトなど、神戸のこの辺りには、素晴らしいものに触れる機会がたくさんあります。授業でもラッピングやフラワーアレンジメントを取り入れています。ただ料理やお菓子を作るだけではなく、様々な感性を磨いてほしいですから。
学生の将来の夢と、優秀な人材を求めるお店や企業とを結びつけるのが、専門学校の役割です。当校の卒業生を雇っていただくのは、長年の付き合いもありますし、過去の卒業生のがんばりがあるからです。クリスマスなどの繁盛期などに、インターンシップとして学生を預かってもらうこともやっています。神戸のお菓子屋さんは、とにかく人材を育てようという意識が高いのです。兵庫県洋菓子協会でも人材育成のためのコンクールや研修会に力を注いでくれています。そういう街だからこそ、安心して学生を送り出せる一方、最低限のマナーを持った人材を送り出さなければならないとも思っています。

地域との触れ合いを大切に 専門学校にできることを

試み的に1階のスペースでカフェをオープンしています。メニュー作りから看板、接客まですべて学生が行います。新鮮で値段が安いこともあって、近所の方がよく買いに来てくれるのです。そういう触れ合いが嬉しいのです。そして人と触れ合い、買ってもらえる喜びを体験し、地域のつながりを感じられることこそが、カフェ営業の醍醐味であり、学生たちにはそういう体験をする機会を多く持ってほしいのです。関東の修学旅行生が、神戸で食文化を学ぶテーマで立ち寄ってくれたこともあります。地域貢献の一貫として親子料理教室も10年前から開催しています。幼い頃から本物の味を知ってほしいという思いがあります。そして匂いや、台所から聞こえてくる音など、五感で感じる食事の大切さを伝えていきたい。さらには地域貢献のために行っている料理教室を行うことで、学生たちは人に教える体験もできるのです。
地方都市の多くには、調理師専門学校にウエディングのコースがあります。ウエディングの現場では、お菓子や調理の知識は強さになります。将来的には、ウエデイングの学科も併設できたらと考えています。大学などとのコラボレーションも進めていきたいです。今の大学生の食生活はとても気がかりです。食に関する最低限の知識を持った、料理を作れる大人を養成したいと思っているのです。
私自身は結婚してから専門学校の仕事に携わりました。偶然かも知れませんが、それが料理とお菓子の学校で本当に良かったと思っています。美しいもの、人に夢を与えるものが好きです。そういう夢や感動を与えられる専門学校でありたいと思います。

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親子料理教室を開催し、地域との関わりを大切にする。

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生徒たちによる工芸菓子。ノートルダム寺院を表現した

生徒たちによる工芸菓子。ノートルダム寺院を表現した

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植木 砂織(うえき さおり)

Ecole CP・学校法人育成学園 理事長 学校長
兵庫県伊丹市生まれ。学校法人育成学園(育成調理師専門学校、神戸国際調理製菓専門学校)理事長・学校長。「エコールCP」の愛称で親しまれている調理と製菓の学校で、未来のシェフ、パティシエを育成。学園運営とともに、02年「神戸スローフード協会」を設立するなど、日本の食文化の未来を見据えた活動を展開している。
芦屋市在住。神戸キワニスクラブ会員


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目次 2011年3月号