神戸市医師会公開講座 くらしと健康 71

重大な病気に結びつくCKD(慢性腎臓病)
早期発見のために検診の受診を

―CKDとはどのような病気ですか。
近藤 CKD(慢性腎臓病)は、たんぱく尿など腎障害の存在が明らかな状態、腎臓のろ過機能が一定の基準(60㎖/分/1・73㎡)未満の状態のいずれか、または両方が3ヶ月以上持続する状態をいいます。CKDの背景には高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病があり、主な原疾患としては腎硬化症、糖尿病性腎症、糸球体腎炎、前立腺肥大等が挙げられます。日本人の成人人口の約13%がCKD患者といわれ、非常にポピュラーな病気です。軽症の場合は自覚症状がありませんが、重症になると全身のむくみ、全身倦怠感、貧血、動悸などの症状があります。
─CKDの診断について教えてください。
近藤 診断・判定は尿検査と血液検査の結果をもとに、CGA分類という方法により行います(表1)。これは、原疾患、尿のたんぱく、血液検査によるeGFR(推算糸球体ろ過量)を合わせたステージにより重症度を評価するものです。尿のたんぱく(アルブミン)は多いほど、eGFRは低いほど重症と判定されます。CKDは重大な病気を引き起こしますので、特に重症の場合は専門医による治療が必要です。まずはかかりつけ医の診察を受け、重症の場合は腎臓の専門医を紹介してもらいましょう。
─CKDはどのような重大な病気を引き起こすのでしょうか。
近藤 CKDはCVD(心血管疾患)の重要な危険因子になっています。CKDの有無は、CVDの予後に大きく影響します(図1)。CKDが重症化すると末期腎不全になりますが、それよりもCKDが引き起こしたCVDや脳血管障害により亡くなるリスクの方が高いのです。そのメカニズムにはさまざまな因子がありますが、高血圧などの体液調節障害、内皮障害による動脈硬化、貧血が絡み合う心腎連関によっておこります。CKDになると体液調整障害を引き起こし、それがCVDに結びつきます。CVDはさらに体液調節障害を助長してCKDを悪化させるなど、お互いがお互いを悪くする悪循環に陥るのです。つまり、CKDは心筋梗塞、心不全、脳卒中の発生や死亡率悪化に直結するので、早期発見・早期治療がとても大切なのです。
─CKDの治療について教えてください。
近藤 基本的に糖尿病、高血圧、脂質異常症など原疾患の治療を、主にお薬でおこないます。高血圧がベースにある場合は血圧の管理をおこないますが、降圧剤を使用する際は腎臓の糸球体に負担をかけないお薬を使用します。また、食事指導も有効です。理想としては塩分が1日6g以下、摂取エネルギーは1日あたり体重×25~35キロカロリー、たんぱく質は軽度の場合はなるべく控えて、中等度の場合は1日あたり体重×0・8~1g、重症の場合は1日あたり体重×0・6~0・8gです。しかし、治療の基本的な考えとして、生活習慣病の解消に努めることが第一です。飲酒や喫煙を控え、適度な運動をおこなうなど生活習慣を改善しましょう。
─CKDの早期発見に向け、神戸市はどのように取り組んでいますか。
近藤 神戸市の国保特定健診ではこれまで、クレアチニンにより腎機能を診ていました。しかし、それだけではCKDを発見するには不十分なので、今年4月から新しい検査指標としてeGFR値を採り入れました。これは全国でもまだ少ない取り組みです。このように検査を充実させましたが、それでも受診率が低いと意味がありません。昨年度の特定健診の受診率は3割を切っており、保健指導に至ってはわずか6%です。CKDは放置するとCVDや透析に直結する危険な病気ですので、早期発見のためにもぜひ特定健診を受けましょう。

表1 CKDの重症度分類

図1 2型糖尿病患者における脳卒中、冠動脈疾患および全心血管イベントの相対危険率

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近藤 誠宏 先生

神戸市医師会理事
近藤内科クリニック院長


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目次 2013年8月号