神戸市医師会公開講座 くらしと健康 43

うつ病は誰にでも起こりうる「こころの風邪」
不眠、疲労感、頭痛が続いたら診察を

―うつ病とはどんな病気ですか。
深山 うつ病は決して特別な病気ではなく、むしろよくある気分障害のひとつです。生活や環境の変化、ストレスなどの誘因が重なったときに、セロトニンなど脳内の神経伝達物質の減少が起こり、神経細胞のバランスが崩れ発症します。主な身体症状としては不眠、食欲低下、疲労感、頭が痛い・重いなどが挙げられ、これらの症状がほとんど一日中、毎日おこるという状態が2週間以上継続するとうつ病と診断されます。

―うつ病になりやすいのはどのようなタイプですか。
深山 真面目、几帳面、責任感が強いタイプの方はうつ病になりやすいと言われていますが、最近では物事に柔軟に対処するような方でも無理がたたり、ストレスからうつ病になるケースも増え、「誰でもかかる病気」と心得ておくべきです。うつ病はよく「こころの風邪」と言われています。確かに風邪のように「誰でもかかる」病気ですが、風邪のように数日で完治せず、慢性化しやすいため日常生活に支障をきたします。最悪の場合自殺を含め死につながる病気ですので、注意が必要です。

―うつ病の疑いがあるとき、どの診療科に行けばいいでしょうか。
深山 うつ病の身体的症状は甲状腺疾患などの内分泌疾患や認知症、膠原病、インターフェロンやステロイドなどの薬剤の影響などと見分けがつきにくいため、まずは内科医などのかかりつけ医に相談しましょう。うつ病は早期発見が大切です。普段から接しているかかりつけ医は異状を察知しやすく、実際に内科医によるうつ病の初診は6割以上にのぼっています。病状によって、かかりつけ医から精神科医などの専門医に引き継がれます。神戸市内ではその際、神戸G-Pネットにより迅速かつスムーズな対応が可能となりました。

―神戸G-Pネットとは何ですか。
深山 かかりつけ医から専門医へのスムーズな引継ぎを行うため、G-Pネット情報センターを設置したネットワークで、昨年から稼働しています。さらに神戸市や神戸市立医療センター中央・西市民病院、神戸大学付属病院、市民団体や法律家などの協力のもと、自殺防止にも努めています。医師会主導で組織した例は珍しく、全国的に注目されています。

―うつ病の治療はどのようにおこなわれますか。
深山 うつ病は「こころの疲労」でもあるので、第一に休養です。次にお薬による治療があります。最近では脳内の神経伝達物質をコントロールするSSRIやSNRIといった新しいお薬による治療がおこなわれ効果をあげていますが、早期の発見ならより効果がみられます。しかし、薬を飲んですぐ劇的に改善する訳ではありませんので、時間をかけ忍耐強く治療していく必要があります。また、まわりの人のサポートも大切です。

―うつ病の方にはどのように接すれば良いのでしょうか。
深山 うつ病になると無気力で、怠けているように感じるかもしれませんが、病気ですから気持ちの持ちようとか本人の努力の問題とかではないのです。よって、叱ったり非難したりすることはもちろん、安易に励ましたり気分の問題にしたりすることも避けてください。また、気分転換にと外出や運動へ無理に誘うことは、逆効果となることがあるので注意が必要です。大切なのはこれまで通り普通に接することです。また、話をじっくり聞いてあげること、治る病気であることを教え治療を促すことも良いでしょう。

―うつ病にならないためにはどうすればよいのでしょう。
深山 まず、ストレスを取り除きましょう。気分転換も大切で、自分に合った趣味やスポーツなどを楽しむことも効果があります。うつ病は過労、失業、転職、異動、引っ越し、結婚、離婚、借金、死別など生活や環境の大きな変化がきっかけで発症することが多いので、その際は注意が必要です。また、うつ病は自分では気づきにくい病気ですので、まわりにこのようなことがあった方がいたら注意して見守り、いつもと違うと感じたら診察を勧めてあげましょう。

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深山 鉄平 先生

神戸市医師会理事・深山医院院長


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目次 2011年2月号