外食産業を演出する

株式会社トリドール代表取締役社長 粟田貴也さん

 

丸亀製麺、とりどーるなど、神戸から全国へおいしさを発信するトリドール。
90年の会社設立以来、外食産業に新風を吹き込んできた粟田社長に、
人気の秘密やこれからの目標などをお聞きしました。

 

―95年に株式会社を設立されて以来、急成長されていますが、現在何店舗なんでしょうか?
粟田 丸亀製麺、とりどーるなどすべて含めて、12月31日現在で全国に508店舗を出店させていただいております。

 

現状に満足せず、夢を見続ける

 

―はじめはご夫婦で加古川に店を出されました。今日のような成長企業になる可能性を実感したのは?
粟田 とにかく自分の店を持ちたかったんですね。自分の店を3軒持てたらいいなという思いで創業しました。そして他店との競争などをしていくうちに、その都度、目標が大きくなっていったんです。ですから、どこかのタイミングで一大決心をしたわけではないですね。創業当時に見ていた夢と5年前の夢は違いますし、今の夢と将来見る夢は違うと思うのです。現状に満足せず、成長していきたいという思いだけは常に持っていましたけれど。

 

全国で愛される「讃岐うどん」

 

―神戸に本社を置くトリドールですが、「丸亀製麺」も展開されていますね。名前からは丸亀の会社のように思えるのですが、なぜ「丸亀製麺」という看板を?
粟田 10年前の平成12年にセルフうどんの店を始めるにあたって、「讃岐」というのはポピュラーすぎると思って父の出身地の近くで親類も多い「丸亀」を冠にし、店内で麺を作るという意図を明確にしようということで「丸亀製麺」を使いました。

 

―「丸亀製麺」は全国展開していますが、それぞれの地域で好みの違いはありますか。
粟田 関東では濃口、関西では薄口などと地域によって好まれるダシの味というのは一般的に違いますが、私どもは「讃岐うどん」を皆さまに味わっていただこうということで、地域によって違いは設けず、統一で同じ味にしています。

 

成功の鍵は「専門化」と「高付加価値化」

 

―人気の秘密とは?
粟田 私どもは付加価値を高めてうどんを提供したいと考えてます。ですから、セルフうどんを簡略化した形で提供するのではなく、店頭で製麺して出来立てを召し上がっていただいております。この「手作り感」や「出来立て感」が、評価をいただいているのではないかと思っています。

 

―「専門化」と「高付加価値化」が成功の鍵だとおっしゃっていますね。多店舗展開というとフランチャイズ制を思い浮かべますが、フランチャイズではなく、すべて自社・直営でされているのはそういった理由からなのでしょうか?
粟田 そうですね。店内で製麺するので、どうしても手間ひまと技術が必要になります。そして、技術を受け継いでいくということと、手間ひまをかけてお客様にご奉仕していくという理念の共有こそが必要だと考えています。フランチャイズにしますと、経営者の理念の共有は難しくなります。従業員一人ひとりが理念を共有することが成長を支えていると思いますので、そういう意味で、フランチャイズというやり方はとっておりません。

 

外食産業の将来と今後の目標

 

―外食産業は、今後はどのように変化していくのでしょう。
粟田 少子高齢化はますます進んでいくでしょうから、全体の胃袋自体も小さくなるでしょう。そうした中で、外食産業としては大きな転換期を迎えることになると思います。そうすると、従来のやり方ではうまくいかなくなるのは目に見えています。今、丸亀製麺が時代から時代への足がけとして時代の流れをうまくとらえて成長できていると思っておりますが、次なる転換期にあっても、繁栄をイメージしながら、新しい可能性を模索しつつ絶えざる変化をしていきたいと思っています。

 

―今後の目標をお聞かせください。
粟田 当面の目標は全国1000店出店することです。今は、我が社にとってはすべてが整っている順調なときですから、思い切ったチャレンジをしていくにはよい時期ではないかと思っています。
神戸は新しいものを取り込み成長してきた街ではないかと思うのです。神戸は私の生まれ故郷ですから、神戸で成功したいという思いは昔からありました。この先も、神戸に本部を置きながら街と一緒に成長していきたいですね。

 

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粟田 貴也(あわた たかや)

1961年10月神戸生まれ。学生時代のアルバイト経験を通じて飲食業の魅力に目覚める。85年焼鳥店「トリドール三番館」創業、90年当社設立。近年は、セルフ讃岐うどん「丸亀製麺」を中心に年間120店ペースで出店加速化。08年東証一部上場。10年12月末現在、全店直営508店舗を展開


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目次 2011年2月号