さらに前進80周年

株式会社 そごう・西武 
執行役員 神戸店長
松下 秀司さん

80周年を迎えた今年、8月に店長に就任した松下さん。33年前、社会人第一歩を踏み出した街と神戸店でもある地域には特別な想いがあるという。

神戸店には特別な思い

―80周年記念企画や、催事の予定は。
松下 年始から80周年と位置付け、誕生月の10月に向けて盛り上げてきました。大きなイベントとしては9月4日から9日まで開催の第68回春の院展があります。兵庫県下では初めての開催で普段は美術館でしか見ることができない作品をご覧いただけます。また、各売り場でも記念商品を企画していますのでご期待ください。
―東京が長かった松下店長ですが、神戸との縁は。
松下 広島で大学卒業後、1980年にそごうに就職し、初めて配属されたのが神戸店でした。震災当時も神戸店は離れていましたが、住まいは神戸でしたので、特別な想いがある街です。
―長年、婦人服を担当されてきたそうですね。
松下 婦人服のアイテムはほぼ全て担当しましたし、婦人服売り場に関してはありとあらゆることを担当させていただきました。
―中でも特に思い出深いのは。
松下 一番苦労したのは20年以上前ですが神戸店で、自分たちで仕入れて販売する売り場を2カ所作った時です。今でこそ自主売り場は流行ですが、当時はほとんど前例のない状況で、とても苦労しました。未だにその時のことが私のバイブルになっています。
―どんな仕事のやり方ですか。
松下 それまでの仕入れの仕方を180度変えました。自分たちでショップへ出かけ、商品を見てタグの裏の電話番号に連絡して自分たちの手で仕入れて、自分たちの手で販売しました。

そごう神戸店から光輝く〝KOBE〟をアピールしたい

―その経験が今に生きているのですね。
松下 今月、3階にオープンする「メゾン・ド・ロゼ」もその経験を生かしたものです。自主の売り場は本社商品開発部隊や商品部で進めるもので、ゾーン名も統一するのが方針です。そこを何とか説き伏せ、独自のネーミングにしました。
―そこまでこだわる理由は。
松下 33年前、私が広島からやって来た頃の神戸は、「こんなにオシャレな町が日本にあるのか!」というくらい光り輝いていました。雑誌には神戸エレガンスが掲載され、神戸の町の読者モデルが登場しました。ところが1年半前、久しぶりに帰って来て、「あの頃のショップや女の子たちはどこへ行ってしまった?」と思うほどイメージが変わったと感じました。「日本中どこにでもある街と同じじゃないか。憧れの〝KOBE〟は一体どこへ行ってしまったのだろう?」。そこで、そごう神戸店の中にKOBEをアピールできる一角を作ろうと考えたのです。
―それがメゾン・ド・ロゼですね。
松下 本社からのゴーサインが出て、さて実際にどうしようかと考えた時、今までの男性中心のバイヤーが考え、販売員が売るという形を変えようと考えました。そこで、女性のお客さまの気持ちが分かる女性社員たちが、神戸の著名人から自分の知人友人まで幅広く話を聞きながら、KOBEをキーワードにした売り場のコンセプトづくりを始めました。そして生まれたのがメゾン・ド・ロゼです。
―婦人服でKOBEをアピールするのですね。
松下 同じものが売れる世の中の流れができ、どこも同じお客さまをターゲットに同じような商品を置くようになると同一化してしまい、本来のそごうらしさも失われてくると思います。そこで、大きな売り場でもある婦人服からアクションを起こして、少しでも変えていこうとしています。
―パンのルビアンもアクションの一つですか。
松下 そうです。女性社員5人とルビアンさんの女性スタッフ2人でプロジェクトを組み、神戸をコンセプトにゼロから作り上げたパン屋さん。私たちオジサンが参加したのは、最後の試食会だけです(笑)。ルビアンのミッシェルさんが毎朝、早朝からパンづくりを始めます。100年前から受け継がれる伝統的な工法で焼き上げるトラディショナルなパンもあり、また神戸そごうオリジナルパンもあります。

神戸の〝玄関口の百貨店〟としての役割

―ターミナルにあることは、そごう神戸店の大きな強みですね。
松下 ターミナル立地は最も大きな強みである一方で、足かせになる場合もあります。どうやってお客さまに来ていただこうかという発想が薄れていき、努力を怠ることになるんですね。コンビニ感覚でご利用いただくために、日々必要な商材は品種を絞って奥行きを持たせ、品欠けサイズ欠けを起こさないようにすることはターミナル店として絶対条件です。しかし、上層階にどうやってお客さまを誘導するかは、違う発想で考えなくてはいけないと考えています。
―効果的な方策をお持ちなのですか。
松下 神戸店は構造上の問題もあり、本館上層階に大型店舗やレストラン街を造れません。シャワー効果を生む施設が置けないということがネックです。そこで、集客の要になっている地下食品売り場や新館ロフトさんからどうやって買い回りしていただくかが課題。そこでまず、ロフトさんとタッグを組むイベントや、食品と婦人服のコラボなどで集客すること。そして最も大切なことは、販売員一人ひとりが自分のお客さまにどうやってアプローチするかです。私は「当たり前のことを一生懸命やろう」と皆に話しています。
―セブン&アイ・ホールディングスの一員であることのメリットは。
松下 私は本社で勤めた中で最近の2年間、毎週メディア戦略会議に参加しました。各グループから担当者が集まり、イベントや販促、コラボレーションなど話し合います。コンビニのバイヤー、ネットショッピングの担当者、出版社の編集長等々、私が今まで会ったことのない業種の人達が集まり、色々な会話をしました。百貨店で従来型の考え方をしてきた私にとってホールディングスの積極的なものの考え方は聞けば聞くほど目からウロコ。私にとっては大きなメリットでした。
―今後のそごう神戸店についてはどうお考えですか。
松下 神戸の玄関口・三宮の真ん前に店を構えているそごうが元気になれば、神戸も元気になるはずです。そのために、消費者の皆さんにどうアプローチすればいいのかを一生懸命考えていきたいと思っています。複数の商業施設が役割分担しながら街全体を盛り上げていける店づくりをしたいですね。
―賑やかになりそうですね。今後も変わらず、神戸の玄関口の百貨店としての役割を担ってください。

KOBEをキーワードにした婦人服フロア「メゾン・ド・ロゼ」が3階にオープン(イメージ)

KOBEをキーワードにした婦人服フロア「メゾン・ド・ロゼ」が3階にオープン(イメージ)

女性だけのプロジェクトチームが生み出したオリジナルパン(ル ビアン<ルミレーヌ>)

女性だけのプロジェクトチームが生み出したオリジナルパン(ル ビアン<ルミレーヌ>)

三宮の玄関口の百貨店「そごう神戸店」

三宮の玄関口の百貨店「そごう神戸店」

80周年を記念し県内で初めて開催される「春の院展」

80周年を記念し県内で初めて開催される「春の院展」

松下秀司(まつした しゅうじ)

1980年広島修道大学卒業。
1980年株式会社そごう入社(神戸店配属)、1992年神戸店婦人既製服第二課課長、2002年株式会社そごう統合商品部婦人服飾二部STエキスパート、2006年株式会社ミレニアムリテイリング関西営業推進部商品担当(現株式会社そごう・西武)
2012年そごう神戸店副店長、2013年8月より執行役員神戸店長。


ページのトップへ

目次 2013年9月号