「天神泉源を世界遺産に」と地元の声もある。有馬特有の金泉は、世界的に見ても希少価値が高い。

インタビュー 「世界の有馬温泉」になるために

(社)有馬温泉観光協会会長 當谷 正幸さん

 

団体から個人へ、外国人客への対応など、最近の有馬温泉は
変化してきている。有馬の魅力を最大限に活かした、
これからの有馬温泉の方向性について話していただきました。

 

―日本の温泉は海外でも人気が高いと伺いましたが、有馬温泉はいかがでしょうか。
當谷 東アジアからのお客様はこの数年で、中国・韓国・台湾そして香港からもたくさんお越しです。
 その対応は、全国にたくさんの成功例も失敗例もあります。それぞれの母国の文化をある程度理解した中で、基本的には日本旅館としての文化を受け入れて頂くことだと考えています。団体ツアーのお客様は、日本でのゴールデンルートを堪能していらっしゃいますが、富裕層のお客様は、有馬・京都・大阪での好きなところを旅行されているようです。
 日本のお客様も団体から個人の旅、また着地型観光へと多様化が進んでいます。インバウンドのお客様も、徐々にそのような旅を選んでいかれる傾向があります。ただ注意しないといけないのは、日本のお客様に愛されてそのお客様がベースになって、残りを外国のお客様の枠として考えていかなければいけないと考えています。プランですが、各旅館の個性を活かして温泉や食事、おもてなしなどで商品を作りますが、有馬全体として各国の言葉で有馬の良さなどを案内できるシステムを作っていきたいと考えています。それは留学生とか在日の方々の活用です。

 

―有馬温泉の強みを生かして、どのような取り組みを計画されていますか。
當谷 金泉・銀泉がよその泉質より優れていると思いますが、江戸時代の温泉番付表では東の草津温泉、西の有馬温泉が筆頭の大関です。その地域の力を活用していくことを考えています。例えば兵庫県が里山の整備をしてくれました。六甲有馬ロープーウェーから瑞宝寺公園へ至るルートですが、運動浴・色彩浴等を楽しみながら森林セラピーを温泉と組み合わせた健康づくり、美容の促進への提案です。
 神戸には医療の核になる先端医療センターや神戸大学、WHO、中央市民病院などがあります。有馬の近くには地域医療の有馬温泉病院があります。さらに、医師会や兵庫県民間病院協会、播磨科学公園都市にあるスプリング8などと連携して、有馬温泉そのものが予防や治療、療養など健康をテーマにした街づくりなどに取り組めればいいと思います。

 

―最高の食材を旅館全体で仕入れる「美食倶楽部」が立ち上がりました。
當谷 地産地消は本来、時間・距離で四里四方とか言いますが、兵庫県内の日本海からも瀬戸内海からも、また里のものも野のものも2時間ぐらいで有馬に到着致します。地産地消への取り組みです。外国の蟹でなく、浜坂から蟹を買っています。また明石鯛を始め、特級品としての海産物、野菜があります。そして神戸ビーフです。その取り組みの中で、食の安全の兵庫基準等を創設し、安心して食べて頂けるシステム作り等を、県に提案をしています。

 

―予約形態も大きく変わりましたね。
當谷 一般的な旅行は旅行会社の予約が当たり前でした。それとなじみさんからの予約で構成されていました。ここ数年予約の形態が大きく変化してきました。ネット予約です。選ぶポイントはまず金泉・銀泉があるか、浴場はどんな形のものがあるか、そしてサウナがあるか、貸切風呂があるか、露天風呂付きのお部屋があるかをまず見られるようです。そして次に料理、部屋、おもてなし、立地などのクチコミが宿をお選びになる基準になるようです。

 

―観光も近隣地区との連携に力を入れておられますが。
當谷 地域との関係ですが、有馬温泉は六甲有馬観光群の中にあります。六甲山の自然や六甲有馬ロープーウェーなどの山頂施設と協力し、着地型観光を作ることが必要です。もちろん山頂までロープーウェーで行くと12分で行けます。世界一の夜景の一つも有馬から近いものです。また北神ツーリズムを立ち上げています。フルーツフラワーパーク、キリンビール神戸工場、神戸三田プレミアムアウトレット、そして岡本商店街などと協力して、地域をバスで移動出来るようなネットワークが出来ています。近隣との関係ですが、三田、篠山、宝塚、西宮、芦屋各市と着地型の観光への取り組みを思考中です。

 

―今後の有馬温泉の展望については、いかがでしょうか。
當谷 神戸市との話し合いの中で、マスタープランへの取り組みがスタートしています。22年10月から23年3月まで若い人達だけが集合し、ワークショップがスタートしています。コンサルには入って頂いていますが、各開催日にゲストミーティングなどを実施し、偏らない運営に努力をして頂いています。来年4月からの委員会設立に向けた勉強会です。
 有馬温泉は、世界的に珍しく注目される温泉です。その理由のひとつに金泉があります。金泉の泉質はマグマの同位元素に似ていると言われていますが、火山でない六甲山の中腹の有馬だけに存在するのでしょうか。天神泉源など泉質やそのエリアを世界遺産に登録は出来ないだろうかとの意見もあります。 
 また健康づくりキャンパスとしての認定が頂けるような取り組みもしたいと思います。有馬は歴史があり文化も奥が深い温泉地ですが、「世界の有馬温泉」になるために、その良さを各国の大使館や記者クラブの皆さんに向けた情報発信が出来ればと考えています。少子化時代ですから、日本の学生や留学生ともつながりを深めて、大きく輪を広げていきたいと考えています。ともつながりを深めて、大きく輪を広げていきたいと考えています。

 

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當谷 正幸さん(とうたに まさゆき)

(社)有馬温泉観光協会会長
銀水荘別館 兆楽 代表取締役


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目次 2010年12月号