神戸市医師会公開講座 くらしと健康 41

意外に多い子どもの熱性けいれん
慌てないで落ち着いた対応と観察を

―熱性けいれんとは。
佐野 熱性けいれんとは、通常5才以下の子供に見られる38℃以上の発熱に伴って起こるけいれんをいいます。子どもの脳は熱に弱く、風邪などの熱(通常38℃以上)でもけいれんを起こします。熱性けいれんは、日本の子どもでは5%以上の子どもが経験するありふれたもので、1才台が一番多く、次に2才台、1才以下の順で多くみられます。
―どのような症状なのでしょうか。
佐野 熱性けいれんは熱の上がり際に多く、突然意識がなくなり、白目を向いて、身体をそらせるように硬くしたり、手足をガクガク震わせたりする状態です。顔色がわるくなり、時に紫色になります。

―そのような状態になると、慌ててしまいますよね。

佐野 でも、慌てず落ち着いて対処することが大切なのですよ。ひきつけた時はまず時計を見てください。そして衣服を緩めて、呼吸をしやすくしましょう。吐いたりすることもあるので、顔を横向きにして息がつまらないようにしてください。大半は、数分~5分以内で止まり、いったん意識が戻って(泣いて)、その後寝ます。熱が上がって呼吸は速くなっていますが、顔色がよく、規則正しい呼吸をして寝ていれば、少し様子を見ても良いと思います。心配な点がある時はすぐに近くの先生に診てもらいましょう。

―病院に連れて行く必要はないのですか。

佐野 明らかに風邪の症状があって、左右対称のひきつけが数分以内に治まるようであればあわてて病院に行く必要はありませんが、「10分以上続くけいれん重積状態」、「生まれて初めてのけいれん」、「1歳までの乳児のけいれん」、「けいれんの前後に頭痛・嘔吐・意識障害を伴う場合」、「けいれんに左右差があったり、けいれん後に麻痺を伴ったりする場合」は単なる良性の熱性けいれんではない可能性がありますので、早期の受診と専門医による迅速な対応が必要です。また、熱の原因がはっきりしない時、一日に何回もひきつける時、熱が37℃台なのにひきつける時もてんかん・脳内出血・髄膜炎などの可能性がありますので受診しましょう。

―様子を観察することも大切なのですね。

佐野 はい。①けいれんが続いた時間、②発作中の身体の様子、③体温、④けいれんが終わってから意識が戻るまでの時間などをよく観察しましょう。受診の際にその様子を担当の医師に伝えることも、正しい診断のために大切です。

―熱性けいれんは繰り返すのでしょうか。

佐野 1回しかおこらない方が62%と多いのですが、2回起こる方が24%、3回以上起こる方は14%と3人に1人は繰り返します。けいれんが長く続くと脳障害(知能障害や運動障害、後年のてんかん発症など)を残す可能性がありますので、熱性けいれんが長く続いたり、2~3回以上起こしたりした場合などに熱性けいれんの予防をします。

―どのように予防するのでしょう。

佐野 お薬で予防します。ジアゼパムの内服(商品名:セルシン、ホリゾン)または坐薬(商品名:ダイアップ坐薬)で、熱性けいれんの再発を1/3程度に抑えられます。薬は2年間または5歳頃まで使用します。投薬をやめてから、再び熱性けいれんを起こしたら再開しますが、使用法については患者さん個人の状況により異なる場合も多いので、主治医の指示に従ってください。副作用はふらつきと眠気ですが、発熱時は安静にしているはずですので、問題になることは少ないでしょう。また、解熱用座薬は必ずしも使う必要はありませんが、もし使われる時には必ず医師や薬剤師の指示に従ってください。けいれんを起こして発熱がはじめてわかることの多い子どもの場合は、継続的に抗てんかん薬の内服が必要となる場合もありますので、主治医とよく相談してください。

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佐野 公彦 先生

神戸市医師会理事・
さの小児科クリニック院長


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目次 2010年12月号