ビリーノエルと雪だるま ブラザーズ(FELISSIMO)

音楽的風景 第五話 ディズニーランドとジングルベルとサンタブック

文・矢崎和彦

 

東京ディズニーランドがオープンして間もない頃のことです。オリエンタルランドの役員として誘致から開業までの全業務の総指揮をとってこられた堀さんに場内を直接ご案内いただく機会を得ました。さまざまな場所を見せていただきましたし、いろいろなお話を聞くことができました。ウォルト・ディズニーのすごさを身を持って感じ、いつかこの人のような仕事ができる人間になりたいと思ったものでした。
 朝からディズニーランドに身を置いて、花火とエレクトリカル・パレードを見て感動のフルコースを味わった会場を後にして以来ずっと頭から離れなかったことがありました。あの感動を、現実社会の中で体感することができないのは何故だろうか?あの感動を私たちの会社が提供出来る方法はないものか。
 その日もそんなことを考えながら真夜中の新御堂を運転していました。会社からの帰り道でした。その時、車の中から流れていたのがレゲエ・クリスマスというアルバムの音楽でした。快活で心地よいリズムのジングルベルの調べに乗って、突如、こんなイメージが私に舞い降りてきたのです。
 「大きな会場を埋め尽くした大勢の人々の前で、スポットライトを浴びたキラキラ輝くサンタクロースと七人の小人のような雪だるま達がレゲエ・クリスマスの楽しいリズムと笑顔の観客たちの手拍子に乗って、楽しい踊りを披露しながら客席に降りていった。会場内をパレードしながら一人ひとりにプレゼントを渡していく。」
 世界中の人々がしあわせになるための特別の一日がクリスマスだ!ディズニーランドより大きな現実の都市空間全体がしあわせマジックに包まれるそんな一日がクリスマスじゃないか!だったら一年の中のたった一日だけのしあわせを楽しむための商品やサービスだけで埋め尽くされたカタログを創りたい。流れる音楽に合わせて次から次へとアイデアが膨らみ続けました。
 それがサンタブックというカタログの始まりでした。そこから全社員が新しい仕事に本気で取り組んでいきました。今から考えると信じられないような速度で「サンタブック」というカタログが完成し全国の書店の店頭を飾ることになりました。東京タワーを世界一大きなクリスマスツリーにしようという構想も実現しましたし、雪景色の中にサンタランドという非日常空間を突如として誕生させるという企画も実現しました。私自身はレーザー光線で照らされて巨大ツリーとなった東京タワーを北海道のサンタランドのパーティ会場に詰めかけた大勢のお客さまとTBSのテレビ中継で見ることができました。
 当時、会社は大きな変化を求めていましたので全部門が新たな事業の芽を創り出すことを目指しました。いろいろな取り組みが始まり、今につながるものもたくさんあります。
 12月。一曲の音楽から始まったこの出来事を思い出す季節となりました。

 

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矢崎和彦(やざき かずひこ)

株式会社フェリシモ代表取締役社長

 

1955年7月10日生まれ。1978年、学習院大学経済学部卒業。株式会社ハイセンス(現株式会社フェリシモ)入社。1984年、同社常務取締役マーケティング本部長就任。1985年、同社専務取締役就任。1986年、同社取締役副社長就任。1987年、同社代表取締役社長就任。2005年、神戸大学大学院経営学研究科終了MBA取得。


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目次 2010年12月号