[海船港(ウミ フネ ミナト)]釜山・瀬戸内海クルーズ

文・写真 上川庄二郎

【神戸港からの出航風景は素晴らしい!】

 《ぱしふぃっくびいなす》が、この(2010年)初秋・9月の連休に釜山・瀬戸内海クルーズをやるというので乗ってみた。
 朝10時に神戸港・中突堤を出航した《ぱしふぃっくびいなす》は、明石海峡大橋をくぐり、播磨灘、備讃瀬戸と穏やかな海を滑るように航く。
 リヒト・ホーフェンは、「内海の航行は素敵である。景色は絶え間なく変化し、深く分岐した入り江や突端や岬や、無数の島々が現れる。すべてが山また山で多種多様な形をしている」と瀬戸内海を細かく観察し感歎しているのに驚かされる。
 やがて暮れなずむ来島海峡大橋を通過して今日一日の瀬戸内海航路に終わりを告げる。明朝は、釜山に入港だ。

【釜山港の印象】

 釜山には多くの人が訪れているので、今更その印象を述べるなどというのもおこがましいが、違った視点で若干述べてみよう。
 神戸港がニューヨーク・ニュージャージ港、ロッテルダム港と並んで世界の三大港だった1978年頃、釜山港はまだ名もないアジアの片隅の港だった。
 それが、自国の工業化と日本などからの工場の進出に伴って輸出貨物が急増し、加えて、日本の地方港、中でも日本海側の港の貨物を一手に取り込んで急成長していった。そして阪神大震災前年の1994年にはついに世界第5位の港になり、2009年でもその地位に変わりはない。今では、釜山港は日本の港をはるかに追い抜き、北東アジアのハブ港として揺るぎない地位を確立している。
 日本の五大港(東京、横浜、名古屋、大阪、神戸)の貨物総量併せても、今や、釜山港には及ばない。釜山港に入港して右手に見える広大なコンテナ埠頭群を見れば驚かない人はいないだろう。神戸港の閑散振りとは、まるで月とすっぽんだ。
 然るに、日本政府は、新たに京浜港、阪神港を国際コンテナ戦略港に指定し、国際ハブ港湾として再起を目指している。京浜港、阪神港を管理する自治体もこれに同調して頑張ろうとしている。五大港併せて勝てないのに二港湾(旧四港)で立ち向かおうというのだから到底勝ち目はない。
 しかも、神戸では、三菱重工が造船から撤退するというのを尻目に、釜山港内の造船業の盛んなことを目の当たりにして愕然とした気持ちになる。

【世界遺産・慶州を巡って】

 折角韓国に来たのだから、世界遺産の慶州に行ってみようとツアーに参加した。30過ぎの女性ガイドが流暢な日本語で説明するのにはさしてはびっくりもしなかったが、日本の歴史と照らし合わせながら解説するのには少なからず驚いた。
 ビジット・ジャパン3千万人計画とやら、と政府・観光庁は意気込んでいるが、これからの来訪者は中国、韓国に期待するところとなろう。これらの国々から訪れた人たちに、中国語やハングルで対応できるガイドがどれだけいるのだろう。
 また、通貨の問題もある。今日までは円の信頼が強く、世界で日本円が通用した。しかし、中国、韓国からの観光客に日本の土産物店では元やウォンを受け取るのだろうか。もう一つ、中国、韓国のカード会社が発行するクレジット・カードで決済できるお店がどれだけあるのだろうか。

【日本は、外人観光客の受入れ態勢整備が急務】

このように見てみると、日本側の受入れ態勢がまだまだの感がしてならない。言葉と通貨の面からの受入れ態勢整備こそが焦眉の急と痛感した。
 ビジット・ジャパン3千万人計画が、掛け声倒れにならないよう念じている。
 とにかく、感ずることの多い今回の訪韓だった。

釜山港の広大な貨物港エリア

釜山港の広大な貨物港エリア

世界のどの船長も〝世界の中でも、このように目の前に 山があり、緑が映え、都心にも近い。街並みも美しく、 こんなに人々を魅了する港はそうそうない″と異口同音だ。

世界のどの船長も〝世界の中でも、このように目の前に
山があり、緑が映え、都心にも近い。街並みも美しく、
こんなに人々を魅了する港はそうそうない″と異口同音だ。

古墳群の中でも最も規模の大きい大陵苑。

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国宝・沸国寺 751年に創建された。 新羅仏教の優れた造形美を見せる。

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新羅仏教の優れた造形美を見せる。

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かみかわ しょうじろう

1935年生まれ。
神戸大学卒。神戸市に入り、消防局長を最後に定年退職。
その後、関西学院大学、大阪産業大学非常勤講師を経て、
現在、フリーライター。


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目次 2010年11月号