曽根桂子ママと筆者(2008年)

草葉達也の神戸物語

追悼 曽根桂子さん (ライブハウス・ソネのママ)

 

ソネのママが亡くなった。数ヶ月前にお会いした時は、あの高い声で出迎えてくれ、とてもお元気そうでした。ソネはもともと旅館だったのを改築し、当時としては珍しいライブハウスを始めました。関西では本当に草分け的なお店で、旅館時代の名残かママを女将と呼ぶ人が多かったようです。素人のお客さんより、むしろプロのミュージシャンや芸能関係者、芸術関係者に人気があり、近年では「日本でのJAZZ発祥の地・神戸」を広く知ってもらうために、修学旅行生のために力を注いでいらっしゃいました。10月のお別れ会ではママの遺影が掲げられ、北村英治さんら有名ミュージシャンら多数が参加し、いくつものセッションがあり、みなさんママへのレクイエムを捧げているという雰囲気でした。

 ところで、このソネを舞台にした「ふたたびswing me again」という映画が完成しましたが、ママが亡くなった同時期に完成したのも、凄く運命的なものを感じました。
 主演の鈴木亮平さん、出演者の財津一郎さん、監督の塩屋俊さんにお話を聞いてきました。
 「初めまして。映画が完成された感想とか見所をお聞かせください。では映画初主演の鈴木亮平さんからお願いします」「この映画には、ハンセン病とジャズという二つの大きなテーマがありますが、ハンセン病だけだと重く教育的な映画になってしまいますが、そこにジャズが入ったことでドラマチックになっていますし、軽快になっていますので、どなたでも楽しんでいただける作品になりました」「財津さんは?」「七十五才になって花も嵐も踏み越えて生きてきましたが、まさか最後にこんなテーマの映画に出会うとは思ってもいませんでしたね~ こんな映画は、もう私たちの時代の過去のロマンだと思っていましたが、ガチョーンというインパクトがあるテーマで、今までの日本映画には無いです。最後のエネルギーを費やして、何とかクランクアップまでもちました、こんな感謝の気持ちはないです!」「最後に監督は」「単にジャズをテーマにすると強調的なものになってしまいますので、ジャズを入り口にすることでエンターテイメント性を持たせられるのではと考えました。なぜジャズかというと、ジャズには歴史背景にあるしたたかさと豊かさが兼ね備わっているからです。日本のジャズを調べて行くと、神戸にたどり着き、そして聖地でもあるソネにたどり着きました。この映画は先ごろ亡くなられた、日本ジャズの母であるソネのママに捧げる映画でもありますし、神戸が震災から復興したこともメッセージとして入れてありますので、何よりも神戸の皆さんに見ていただきたいです」「出演者のお二人にお伺いしますが、映画の試写を見せていただいて感じたのは、見せ場でもあるトランペットを演奏する場面ですが、これには御苦労があったのでは? 主演の鈴木さんから?」「いゃ~大変でした。二ヶ月ぐらいの猛特訓ではダメですね。でも、撮影の途中からは息を合わせることと、トランペットを持っている姿とか、いかに長年トランペットをやっている人のように見えるか、トランペットと仲良くなれるかが勝負と思って触っていましたね」「財津さんは?」「おならですね。プーって(笑)やっぱり死ぬ苦しみでした(笑)」
 主演の鈴木亮平さんは西宮出身。財津一郎さんは関西には馴染みが深く、日本を代表するエンターティナー。神戸を愛して止まない塩屋監督。ジャズをテーマにした、この映画はまさに神戸らしい素敵なものに仕上がっています。どうか皆さんぜひ御覧ください。在りし日のソネのママも出演されています 。ママお疲れ様でした。

2008年に曽根桂子ママを 取材した際のスナップ

2008年に曽根桂子ママを
取材した際のスナップ

11月13日(土)より全国ロードショー「ふたたびswing me again」 ©2010「ふたたび」製作委員会

11月13日(土)より全国ロードショー「ふたたびswing me again」
©2010「ふたたび」製作委員会

主演をつとめる鈴木亮平さんは 注目の若手俳優

主演をつとめる鈴木亮平さんは
注目の若手俳優

撮影地のひとつ大手前大学で、 塩屋俊監督を囲んで、鈴木亮平さん、財津一郎さん

撮影地のひとつ大手前大学で、
塩屋俊監督を囲んで、鈴木亮平さん、財津一郎さん

くさば たつや

神戸生まれ。作家、エッセイスト。
日本ペンクラブ会員
日本演劇学会会員
神戸芸術文化会議会員
大阪大学文学部研究科


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目次 2010年11月号