「スポーツ工学とデザイン」

テイスト&デザインを科学する

 

アシックス デザインセンター 歳森美希さん

 

神戸にアシックスあり―。2008年10月に設立されたデザインセンターは、時代のトレンドや消費者のニーズをいち早くキャッチし、アシックスのブランドイメージ戦略の一翼を担っています。設立の目的や今後の目標など、デザインセンターの歳森美希さんにお話を伺いました。

 

―アシックス・デザインセンターができて2年が経ちましたが、設立当初の目的はどういったものだったのですか?
歳森 当社の商品はトップアスリートの方々に広く支持していただいておりますが、それをさらに一般の方々にも受け入れられるよう、機能性はもちろんデザイン性も追求していかなければいけないということで設立されました。2008年10月の設立当初は、スポーツ工学研究所に属していましたが、機能的で、なおかつ感性にも訴えられるような良い商品をクリエイトするために、機能面やソフト面、さらにはマーケティングなどすべてを統括して、補完し合う必要があるということから、プロダクトマーケティング統括部に所属することになりました。
 ジャンルを問わず、スポーツはトップアスリートの人たちだけのものではなく、一般の人たちにとっても非常に身近になっていますから、いろいろな人のニーズに応えるためにも、デザイン性を追求することは重要だと思います。当社としても、トップアスリートを支えるのはもちろんのこと、一般の方にも気軽にスポーツに取り組んでいただけるよう、デザインを商品に昇華させていくことが設立目的でもありました。

 

―当初の目的は着々とすすんでいますか?
歳森 そうですね。簡単な道のりではないのですが、小さな一歩ではありますが、少しずつ進んでいっているということろでしょうか。

 

―デザインセンターがアシックスのデザイン面での方向性を示していく?

歳森 アシックスのデザインポリシーといいますか、アシックスの“色”ですね、ブランドに関わる“色”。これを確立して広げていくこと、そのための取り組みがメインです。プロダクトだけでなく広告も含めて、すべてについて“色”を監修するわけですから、すべてを整えることは2年でできることではありません。ですから、トレンドやマーケットの方向性を一つひとつ分析し、見極めつつ、アシックスらしさとは何なのかを追求して、ブランドイメージの確立を目指しています。

 

―アシックスらしさを考え、方向づけるのはなかなか大変なことですね。いろいろなことを考えないといけない。
歳森 設立当初はどのように仕事を進めていけばいいのか手探りで苦労の連続でしたが、各部署の皆さんのサポートで、少しずつですが着実に目標に向かって進んでいます。
 商品プロジェクトというのは2年先を見据えて始動しますから、デザイン面においてもパリコレとかミラノコレクションなどのトレンドが発表される前に、時代の流れや消費傾向なども把握して2年先に受け入れられるトレンドを創っていくんです。
 まだ2年しか経っていない部署で苦労も多いですが、それ以上にやりがいと喜びは大きいですね。

 

―歳森さんは、元々スポーツをされていて、今のお仕事に就かれたんですか? それとも、デザインの勉強をされてたんですか?
歳森 私は元々デザインの勉強をしていました。
 当社では、スポーツの知識だけでなく、プロダクトデザインやファッションデザイン、建築のデザインなど、世の中のデザインを広く分析・蓄積して、それらをアシックスというスポーツのフィルターを通して、広く受け入れられるデザインを創出していくことが求められます。ですから、スポーツの知識は欠かすことはできませんが、加えて、それ以外の知識や情報も必要になってきますね。

 

―デザインセンターのこれからの目標をお聞かせください。
歳森 ブランドイメージというのは、メーカーの側からお客様への提示するものではなく、お客様とのコミュニケーションの中で徐々に形作られていき、お客様の間に自然に広がっていくものだと考えています。それが本当の意味でのブランドイメージの創出であり、定着と言えるのではないでしょうか。その意味では、常にお客様とコミュニケーションを取りながら、お客様と一緒にアシックスというブランドイメージを創っていきたいと思っています。

 

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歳森美希さん

アシックス デザインセンター 
アシックスプロダクトマーケティング統括部デザインセンター所属。2008年に設立されたデザインセンターでマーケットのトレンドやデザインを分析・蓄積・発信している。 アシックス全体のデザインの方向性、ブランドイメージ戦略の方向性を担う


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目次 2010年11月号