
KOBECCO 2010
和田兼輔 ボートレーサー
シンプルだけど奥深い
そして楽しいボートレースの世界
学生時代に抽選で当たったファンサービスで、初めてボートレース場でボートに乗った。その時の水面を走る感覚、間近で感じるエンジン音で、ボートの虜になったとか。そのまま大学を辞めて競艇学校に入学しボートレーサーを目指す。それまでは特に打ち込めるものもなく、遊んでいる方だったので、目的を持って打ち込み始めた姿に周囲もとても喜んだ。学校時代は「何で丸坊主になって、こんな厳しい訓練を受けなきゃならないのか」と、何度も嫌になったが、応援してくれる人たちのことを思うと負けていられないと思ったという。
2008年、レース中に大けがをして、9ヵ月ボートに乗れない経験をする。それまでのレーサー人生は、ずっとボートに乗れるのが当たり前の生活だった。それが乗りたくても乗れない時期を経たことで、本当にボートに乗ることが好きな自分に気付く。
ボートレーサーとしてもっとも大切にしていることは、絶対に手を抜かないことと、努力を怠らないこと。いまの目標は、師匠でもある吉田俊彦選手と同じ舞台に立ち、いい成績を残して恩返しをしたいと話す。
身体的な鍛錬とともに、メカニックな分野にも強くなくてはならないボートレース。プロペラやエンジン音を聞いてボートの状態を見極める。フライングすれすれの状態で挑戦するスタート方法など、シンプルに見えて奥深いボートレースの世界。「馴染みのない人にとっては、なかなかレース場に来るきっかけはないと思います。でもだまされたと思って一度来てください。目の前であがる飛沫や風を切る姿、100円で賭けるレースのワクワクを感を感じてもらえれば、きっと楽しんでもらえると思います」。