
質素な造りの中にうかがえる、ぜいたくな“洒落” 「旧木下家住宅」
戦前・昭和16年に私邸として竣工され、のちに木下吉左衛門氏が買い受けて、三代にわたって住まわれた後、平成12年に県が遺族より寄贈を受けた旧木下邸。改修工事を終えて昨年から一般公開されている。
国の登録有形文化財に登録され、建物のみならず、前庭と中庭、そして周辺の舞子の自然とともに「文化財と自然の共生」を目指す建物でもある。
舞子公園にあるほかの歴史的建造物は、呉錦堂氏、孫文氏、そして武藤山治氏など、もとの所有者やゆかりの方が有名なのですが、この旧木下家住宅は、建物そのものが注目されています。
自然の素材をあるがままに使い、あるがままの姿を見せるという特徴をもつ「数奇屋造り」という和風建築は、茶道の侘び寂びの考えにもとづいた、質素な造りの家屋です。しかし旧木下邸にはその質素な造りの中に、名木を使ったぜいたくな造りの天井や通好みの模様、繊細な彫り物など、お洒落を追求した造りが多数あります。改修時に訪れた大工さんたちが一様に感嘆の声をあげた職人技や、和と洋が混在した当時ならではの建築、そして自然のままの木々を庭としたと思われる前庭など、さまざまな見どころがありますので、ぜひお越しください。ガイドによるご案内も承っています。
開館 10:00〜17:00(12〜2月は16:00まで)
休館 月・火曜(祝日の場合は開館、その場合水曜休館)
料金 100円(施設管理料として)
旧木下家住宅
078-787-2050

廊下のガラス張りは洋の影響

お話/旧木下家住宅館長
杉田 美子さん

お座敷