
阪神間ミュージアムと周辺散策《西宮市》
故大谷氏の邸宅庭園と美術コレクション「西宮市大谷記念美術館」
西宮市が故大谷竹次郎氏(元昭和電極社長)より、土地建物、美術作品の寄贈を受け、昭和47年に開館した美術館。増改築ののち、邸宅の趣はそのままに、現代風のスタイリッシュな美術館がオープンした。エントランスからは流れる滝と庭園が見渡すことができる。
美術コレクションの館蔵品展以外にも、毎年恒例のイタリア・ボローニャ国際絵本原画展など海外の作品展のほか、現代アートの展覧会など、ジャンルにとらわれない企画展を開催し、話題を集めている。

美術館エントランス

庭園にある岡本太郎氏の作品
西宮市大谷記念美術館
開館 10:00~17:00
(入館は16:30まで)
休館 水曜日(祝日の場合はその翌日)
料金 展覧会により異なる
西宮市中浜町4-38
0798-33-0164
阪神「香櫨園」駅より南西徒歩約6分
酒どころを結ぶ「酒蔵通り」 今も酒造メーカーが建ち並ぶ
江戸時代、天下のお江戸で大流行し、またたく間に酒どころとなった「灘五郷」。五郷のうち、今津郷から西宮郷を結ぶ「酒蔵通り」は、白鷹、白鹿、大関、日本盛など酒造メーカーの本社や工場が建ち並ぶ。
このノスタルジックな通り名を命名したのは、用海町で喫茶「輪」を営む今村欣史さん。約20年ほど前に、西宮市が、街を走る道路に愛称をつけようと公募した際、用海地域からの提案として「酒蔵通り」を提案したのだという。
「今でこそレトロな名前やけど、あのあたりはほんまに酒蔵が並ぶ通りだったから、だからそう、つけたんです」と今村さん。その周辺で育った今村さんは、「わたしらの小さい頃は、木造の酒蔵もまだあって。ひねり餅いうて、酒造りのときにお米の蒸せ加減をみるために餅状にするんですが、それを工場でもうたりね。『おっちゃん、ちょうだい』ゆうたら窓の金網のあいだから餅を投げてくれはるんですよ。それを火鉢で焼いたりして食べたらもうそれがおいしくて」と回顧する。そのときあったレンガ塀も、震災で崩れて無くなってしまったのだという。
今では、酒蔵工場群を抜けると閑静な住宅街を走る近代的な道路になってしまった「酒蔵通り」。そんな昔の酒蔵街を想像しながら散策するのも楽しい。

酒蔵通りに建つ「日本盛酒蔵通り煉瓦館」

「白鷹禄水苑」の白壁

今村欣史さん
西宮市大谷記念美術館 「アフリカの仮面と美術生命と創造の大地」展
人類生命の息吹が生まれた場所ともいわれる大地・アフリカ大陸には、多種多様の民族が生活し、いくつもの優れた造形を生み出した文化や王朝が存在した。本展では、西アフリカを中心に、様々な民族が制作した仮面、装身具、彫刻など約120点を展示、アフリカ美術の持つ豊かな芸術性に触れる。
会期 10月9日(土)~11月28日(日)
料金 一般800円 高大生600円
小中生400円

「アンテローブのマスク」
モシ族(ブルキナファソ)20C中期
酒蔵通りレトロ・スポット
●多聞ビル
酒蔵各社の宮水井戸近くにあるビル。戦前にできた建物で、一時は神戸銀行の支店として営業していたことも。現在は閉鎖しているが、重厚な造りが品格をそなえる。
●六角堂
明治時代、今津小学校の独立学舎として建てられた。戦禍を免れ、現在の酒蔵通り沿いに移築された。資料展示コーナー等を備え一部は開放されている。