高度な医療を優しく確実に

い人たちが住みたいと思う街、人口が増加している西宮市。医療の面ではどうなのだろう。西宮市立中央病院の根津院長にお聞きした。

西宮市立中央病院 院長
根津 理一郎さん

―西宮市立中央病院の受診者は主に西宮市民ですか。
根津 入院、通院ともに約80%が西宮市内にお住まいの患者さんです。そのほか、宝塚市、芦屋市など近隣からの患者さんが多いです。
―救急医療にも力を入れているのですね。
根津 当院は急性期病院ですが、その規模からして重篤な患者さんに対応する三次救急を担うのは難しく、西宮市内では兵庫医科大学病院と兵庫県立西宮病院がその役割を担っています。当院では、主に入院や手術を必要とする重症患者さんに対する二次救急を輪番制で担当しており、軽症患者さんに対する一次救急も地域の当番医療機関のひとつとしてその役割を果たしています。輪番制とは、各病院が前もって情報を提供し、救急車がいわゆる〝たらい回し〟にならないように順番を決めるシステムです。各市それぞれに医師会や公的病院、民間病院などが協力して運用しているシステムですが、西宮市では比較的スムーズに機能していると思います。
―4月から西宮に来られたそうですが、印象は。
根津 西宮市は今どき珍しく、若い人や子どもの数が増えているそうですね。住みたい街の一つに選ばれているとか…、活力のある街というイメージがあります。健康に対しても高い意識を持っておられる市民が多く、医療もそれに応えられるものでなくてはいけないと考えています。
―市民向けの講座なども開催していますね。
根津 「市民健康講座」は当院の医師を始め看護師、栄養士など医療スタッフが一般市民の皆さんに対して、病気に対する診断とその治療や予防法を分かりやすく解説するものです。概ね奇数月の最終土曜日に実施し、できるだけ多くの皆さんに参加いただけるように、アクセスの良い西宮北口にある西宮市大学交流センターを会場に設定しています。一方、院内では「糖尿病教室」を開催し、食事療法や運動療法など色々な角度からお話ししています。毎週開催ですが大勢の参加者があり、糖尿病の患者さんの多さを感じています。また毎週月曜日放送の、さくらFM「中央病院のワンポイントセミナー」は、医師や医療スタッフが自由にテーマを決めて健康・病気・医療などについて幅広く紹介しています。

低侵襲がん治療に力を入れる

―兵庫県がん診療連携拠点病院に指定されていますが、その意味は。
根津 2人に1人ががんになると言われる時代ですから大病院で全てを担うのは難しい状況です。手術できる病院が緩和ケアやターミナルケアも得意かと言えば、そうではありません。病院と地域の診療所が連携して、それぞれ専門分野を担当しながら患者さんを見守っていかなくてはいけません。当院で診療所から紹介されたがん患者さんを受け入れ、逆に急性期を過ぎたがん患者さんを当院から診療所へ戻します。また検査、診断、治療などについても協力体制を整備しながら安心かつ適切ながん診療を提供するものです。
―市立中央病院が得意とするがん治療の分野は。
根津 当院ではがんの中でも特に死亡率の高い5大がん及び膵がん、前立腺がんの治療に力を入れています。また低侵襲手術の技術を逸早く取り入れています。特に呼吸器外科専門医による肺がんに対する胸腔鏡手術、消化器外科専門医による胃がん・大腸がん、および泌尿器科専門医による前立腺がんに対する腹腔鏡手術では多くの実績を持っています。
―緩和ケア病床もありますね。
根津 ペインクリニックを得意とする麻酔科部長を中心に平成21年4月に病床を設けました。在宅看取りが理想ですが痛みのコントロールは必要です。その目処が立つまでの入院を主な目的としています。

公的病院として担う役割、そして移転計画。

―病院経営についてはどうお考えですか。
根津 ご多分にもれず当院も慢性的な赤字を抱えています。節約して無駄を省くなどの経営努力はもちろん必要ですが、公的病院ですので非採算部門の医療を担っていくことも必要です。例えば、採算の取れない小児救急にも力を入れ、新病院には小児専用病棟を設ける予定です。収益面だけで言えば赤字部門ですが、これは公的病院として担うべき役割だと思っています。
―移転計画は順調に進んでいますか。
根津 アサヒビール西宮工場跡地への移転の話が進んでおり、平成29年度の開院を目指しているところです。現在の建物は築38年、阪神・淡路大震災でもかなりの被害を受けています。新築移転は患者さんと職員にとっても最良の策と考えます。土地の広さは現在とほぼ同じですが、阪急今津線阪神国道駅からすぐで交通の便は非常に良くなります。
―県立西宮病院が近くなりますね。
根津 はい。国道2号線沿い、1・5キロ圏内です。県立病院は400床、当院は約250床と規模も違い、また当院には産婦人科がありませんので協力をお願いすることも多いと思います。一方、当院は呼吸器科が充実しています。それぞれが得意分野を強化しながら連携できるように、話し合っていきたいと考えています。
―市立病院ではなくなるという可能性もありますか。
根津 移転後も市立病院として運営していくことには変わりはありません。来年4月に地方公営企業法全部適用への移行を予定しており、市役所から権限の委譲を受けることで、治療のクオリティーを一層高め、それに伴って患者さんの数が増えてくれば収益の改善にもつながるものと考えています。
―新築移転で、職員の職場環境も改善されますか。
根津 職員向けのアメニティーをできるだけ改善し、若い人たちに「働きたい」と思ってもらえる環境づくりをする予定です。働くということはその周辺で暮らすということ。幸い、阪神間には恵まれた住環境があり、特に若い人たちには憧れがあるようですね。新病院になれば、ますます優秀な人材が集まってくれると期待しているところです。
―先生のご専門は炎症性腸疾患ということですが、新病院でも臨床や低侵襲手術に関わられる予定ですか。
根津 専門分野については後継者の育成に努めてきましたので、任せることができる人材が育ってきています。もちろん今後もさらに育成に努めていくつもりです。
―先生の役割は。
根津 私はこれからは院長業が主になると思います。当院の新築移転に向け、若い人たちが意欲を持って働ける病院づくりに努力し、次の世代に引き継いでいくのが私の医者としての最後の仕事だと思っています。
―新病院を改めて紹介できる日を楽しみにしています。本日はありがとうございました。

人口増加が著しい西宮市の基幹病院としての役割を担う

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院内では毎週、「糖尿病教室」を開き、大勢の人が参加する。ほかにも、医療スタッフによる講演会も実施

院内では毎週、「糖尿病教室」を開き、大勢の人が参加する。ほかにも、医療スタッフによる講演会も実施

西宮という恵まれた住環境のもと、優秀な人材の育成に努める

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がん治療においては、早くから低侵襲手術の技術を取り入れ、多くの治療実績をもつ

がん治療においては、早くから低侵襲手術の技術を取り入れ、多くの治療実績をもつ

 

当院は、専門性の高い看護の提供を目指して、認定看護師資格取得の支援や、看護外来の開設などを行っています。さらに看護学生に対して修学資金制度も導入しました。また、病院見学会も実施しています。ぜひ当院の看護部を見学・体験してみませんか?
お申し込み・お問い合わせは、電話またはホームページへどうぞ。

■平成26年度4月採用
募集人数:20名
試験日:平成25年10月26日以降毎月実施
■平成25年度中途採用
募集人数:12名程度
試験日:毎月実施

20131005703

 

20131005704

■お問い合わせ先

西宮市立中央病院
兵庫県西宮市林田町8-24
TEL.0798-64-1515(代表)看護部 清水
http://www.hospital-nishinomiya.jp/nurse/04rcrt/01_offr.html

根津 理一郎(ねづ りいちろう)

1978年、大阪大学医学部医学科卒業。1979年、大阪労災病院 外科医員。1983年、大阪大学医学部付属病院 シニア非常勤医員(小児外科)。1989年、米国オハイオ州クリーブランド・クリニックに留学。1990年、大阪大学医学部 助手(第一外科)。1997年、大阪大学医学部 講師(第一外科)。1998年、日生病院 外科部長。2002年大阪労災病院 外科部長。2010年大阪労災病院 副院長・外科部長を経て、現在に至る。


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目次 2013年10月号