11月1日、北野坂にオープンする「ダルビッシュギャラリー」。ペルシャ(イラン)建築をイメージしたという一風変わった建物になっている

ペルシャ文化の発信 国際交流で、神戸に貢献したい

㈲ボック代表
兵庫県洋菓子協会副会長
福原 敏晃さん
×
ダルビッシュ ギャラリー代表
ジャイレックス(株)代表取締役
ダルビッシュセファット ファルサさん

神戸北野に新名所「ダルビッシュギャラリー」が誕生した。その概要やペルシャ(イラン)文化のことなど、親交のある福原さんを交えて、ダルビッシュ ファルサさんにお話しいただいた。

―お二人の交友のきっかけは。
福原 神戸東ロータリーで講演をいただいた時に初めてお会いしました。その後、神戸マラソンのアドバイザリースタッフとして参加いただきました。ユニークで楽しくて、こよなく神戸を愛し、強い信念と日本人以上に日本人魂を持った方です。
ダルビッシュ 私はKR&ACという外国人のスポーツクラブの理事をしていましたので、その関係で参加させていただきました。そして今回は、福原さんにお願いしてイランのスイーツをアレンジして作っていただきました。ペルシャを紹介するコーナーでお土産として販売しています。
福原 イランにある特徴的な食材をお預かりして、いただいたレシピを基にして神戸流にアレンジした焼き菓子です。ひよこ豆とローズウォーターを使っています。
ダルビッシュ ローズウォーターは、ダマスカスローズという小さくてエッセンスの強いバラをボイリングしながらエキスを取ったもので、イランのお菓子には必ず入っています。日本では使わない食材ですね。元々、ペルシャ発祥で、そこから香水などにも使われるようになったものです。今回のスイーツは少し甘味を抑えて、とても美味しく仕上げていただきました。
福原 美味しくて当たり前のものですから、かなりプレッシャーがかかりました(笑)。神戸に来られる観光客の皆さんにも、「美味しい」と言ってもらえたらうれしいですね。

息子・ダルビッシュ有 大リーガーまでの軌跡を紹介

―ダルビッシュギャラリーを神戸北野に設定した理由は。
ダルビッシュ ビジネス的には、この場所での運営は非常に難しいと思っています。もっと離れた所に造れば、費用は少なく大きなものができたでしょうね。しかし、私が日本に初めて来た当時の神戸北野辺りは、外国人が日本人と関わりながら生活しているとてもファンタジーな世界でした。その街に造ることができたことは非常に光栄に感じています。
―ペルシャをイメージさせる外観ですね。
ダルビッシュ ヴォーリズ建築事務所に、北野の雰囲気に合うイメージで、少しペルシャの雰囲気も出せるようにと設計をお願いしました。私も最初からプランニングに加わり、2年間かけてオープンに至りました。
―どういう構成になっていますか。
ダルビッシュ 1階、2階はダルビッシュギャラリーです。ペルシャの手作り工芸品を展示販売しています。隣の1階、2階には、北野に若い人たちにもたくさん来てもらうというコンセプトでタリーズコーヒーをセレクトしました。3階は息子のミュージアムです。4階に事務所を置き、5階はシラーズクラブと名付けて、国際交流の空間を造りました。イベントや講演会、トークショー、演奏会などに利用する予定です。今後、色々なテーマを決めて、神戸の国際的なカラーを出していこうと考えています。
―ミュージアムにはどんなものが展示されていますか。
ダルビッシュ 息子の子ども時代から、中高生時代、日本ハムファイターズにお世話になった時代、現在の米大リーグ、テキサス・レンジャーズに至るまで、カテゴリーに分けて紹介しています。大画面で本人と対面できるようになっているCGは、見に来てくれる子どもたちに一番喜んでもらえるでしょうね。
―アメリカの息子さんとは頻繁に連絡を取り合っていますか。
ダルビッシュ いえ、男の子ですから…、たまにメールのやり取りをするくらいで、返事がないこともあります。便りがないのは元気な証拠です。苦労はしていると思いますよ。私も高校、大学時代はアメリカで過ごしましたが、文化や習慣の違いには苦労しました。私は勉強をしていただけですが、彼は大リーガーとして仕事をしているわけですから、並大抵の気の遣い方ではないと思います。

ペルシャの工芸品を通して日本とイランの交流を

―ダルビッシュギャラリーはどういうものですか。
ダルビッシュ ギャラリーを運営するJIREXはジャパンイランエクスチェンジ、つまり日本とイランの交流という意味です。福原さんにお願いしたスイーツもその一つで、ノリタケさんのカップや京都で製作したスカーフなど、ギャラリーオリジナルの日本・イランコラボ商品は必ず日本で作っています。また、輸入販売品は絨毯だけでなく、工芸品や小物もたくさんあります。年に4回、私とスタッフでイランへ直接行き、買い付けてきます。イランでは、日本のように営業マンやインターネットを通じて商品が人のところへやって来ませんから、人が商品のところまで行かなくては良いものは手に入りません。
福原 私もダルビッシュギャラリーの商品は購入させていただきましたが、こだわりの品がたくさんあります。小さなペルシャ絨毯を縫い付けたクッションは、ギャラリーオリジナルで最終仕上げされているそうです。何とも言えない絹の手触りです。今まで見たこともないものもたくさんありますよ。例えば、銅版でできた壺は青い図柄が素晴らしいんです。
ダルビッシュ ミナですね。「美しい」という意味です。銅を叩きながら形づくり、その上に白い塗料を塗ってから焼き、ペルシャンブルーを塗って焼き、最後に絵付けをしてもう一度焼きます。
―「ペルシャ」と言われれば、長い歴史と素晴らしい工芸品が思い浮かびますね。
ダルビッシュ 現在のイランは昔は「ペルシャ」と呼ばれていました。私たちはアーリア人で、宗教は3500年前ペルシャ発祥のゾロアスター教です。火と太陽を大切にする宗教で、仏教にも影響を与えています。今は政治的な面ばかりが話題になりますが、長い、長いペルシャの歴史の中には色々なストーリーがあります。
例えば、2千年の歴史があるガラス工芸は、ローズウォーターを運ぶための容器として作られました。皆さんは「正倉院展で見た」と思われるかも知れませんが、今もイランで作られている工芸品の一つです。
ペルシャ絨毯は今と同じような柄で2500年前からストーリーがあります。シンプルなものはそれ以前からあったと思われます。ギャラリーでは商品を実際に見ていただきながらこんな風にお話ししたいと思っています。聞いたストーリーを家族や友達に話し、撮った写真を見せて…、そうすればペルシャのことをもっと広く知っていただけます。商品だけでなく、イベントや交流を通じて伝えていくこともギャラリーの一つの役割だと思っています。
―日本人には、ペルシャ絨毯は高級品、値段が高いというイメージが定着してしまっていますね。
福原 私も初めて知ったのですが、絨毯は全て手づくりで、仕上げるのに何年もかかるものもあるそうです。一生ものですから、決して高いものではないと思いますね。
ダルビッシュ ペルシャ人にとっての絨毯は、日本人にとっての着物に例えられます。高級な着物がある家は格が高いですね。結婚の時には披露してから娘に持たせ、何か困った時には高値で売れます。それと全く同じで、家の中に絨毯が無いと「ちょっと恥ずかしい」というようなものです。
ペルシャ絨毯は編み目の一つひとつ、糸を変えて編みます。デザインをシンプルにして編み目を大きくすれば早く編めて安価にできますが、写真の粒子が大きくなると画像が粗くなるのと同様に、絨毯も雑で美しくなくなります。安価なものから高価なものまでありますから、目的に応じてどういう絨毯を求めるかということだと思います。

神戸は国際交流に興味と理解がある街

―3年前、神戸に移り住んだダルビッシュさんですが、この街はいかがですか?
ダルビッシュ 人生半世紀を過ぎ、私はこの街を選びました。すぐそこに海があり山があり、リゾートのイメージです。住んでおられる皆さんにとっては当たり前になっているのでしょうが。教育、医療、食べ物、買い物、アクセスなど色々な意味で住みやすい街です。
福原さんに今回、スイーツづくりをお願いしたことでも言えるのですが、同じことを始めようとする場合、他の街に比べてスピードが速いですね。神戸は国際的な街だからでしょうか、新しいことや、交流に対して興味を持ち理解してもらえるスピードがとても速くて、チャレンジ精神を感じます。
今回は5階にシラーズクラブを造りました。国際交流を通じて神戸をもっと元気にするために役立てたいと思っています。
―是非、日本とイランの交流、そして神戸の元気のためにご尽力ください。

「ダルビッシュギャラリー」の完成イメージパース。右下にはダルビッシュミュージアム「SPACE11」のロゴマーク

「ダルビッシュギャラリー」の完成イメージパース。右下にはダルビッシュミュージアム「SPACE11」のロゴマーク

モスグリーンを基調にした佇まいは、異人館の街・北野町によく似合う

モスグリーンを基調にした佇まいは、異人館の街・北野町によく似合う

イランの絨毯をはじめとした工芸品を販売する「ダルビッシュギャラリー」

イランの絨毯をはじめとした工芸品を販売する「ダルビッシュギャラリー」

屋上庭園の手すりにはイランの伝統的な紋章が刻まれている

屋上庭園の手すりにはイランの伝統的な紋章が刻まれている

ギャラリーやミュージアムが一体となった「ダルビッシュコート」

ギャラリーやミュージアムが一体となった「ダルビッシュコート」

福原さんがイランの特徴的な食材を神戸流にアレンジしたという焼き菓子

福原さんがイランの特徴的な食材を神戸流にアレンジしたという焼き菓子

オリジナルブランドのペルシャ絨毯は、ポスターサイズのものでも1年近くかけて編んでゆく

オリジナルブランドのペルシャ絨毯は、ポスターサイズのものでも1年近くかけて編んでゆく

薄い銅版を叩いて作る「ミナ」は、ペルシャブルーの鮮やかさと繊細な絵柄が特徴

薄い銅版を叩いて作る「ミナ」は、ペルシャブルーの鮮やかさと繊細な絵柄が特徴

(同上)

(同上)

描かれた絵や形などから日本の伝統工芸にも共通する点が見られる

描かれた絵や形などから日本の伝統工芸にも共通する点が見られる

20131102701

ダルビッシュ ギャラリー

神戸市中央区山本通1-7-16 
ダルビッシュコート1・2F
TEL.078-291-4513
営業時間 11時~20時
定休日/水曜
http://www.darvish-gallery.com

20131102401

福原 敏晃(ふくはら としあき)

1953年生まれ。神戸洋藝菓子ボックサンのオーナー兼パティシエ。神戸市内で5店舗を展開する他、全国の有名百貨店でも、商品を販売する。「神戸マイスター」の称号をもつ。兵庫県洋菓子協会副会長、大手前製菓学院教授。兵庫県技能顕功賞、神戸市技能奨励賞などを受賞

20131102501

ダルビッシュセファット ファルサ

ダルビッシュ ギャラリー代表
ジャイレックス(株)代表取締役

1960年、テヘラン生まれ。1980年に来日し、ABC英語学院を創設。その後、貿易会社を設立し「ダルビッシュギャラリー」を開設。2004年にスポーツマネージメント会社を設立。2013年には、これまでの事業を統合した自社ビル「ダルビッシュコート」を神戸北野に建設


ページのトップへ

目次 2013年11月号