[海船港(ウミ フネ ミナト)] サン・プリンセスの母港となる神戸港

文・写真 上川庄二郎

 

【日本を本格市場に!】
アメリカのクルーズ船社が、ここ数年来アジアの市場開拓に狙いをつけて進出が著しい。上海や香港をマザーポートに韓国や日本、東南アジアを周遊するクルーズである。
それがいよいよ日本市場に狙いを定めて2013年からプリンセスクルーズ社が本格的に進出し始めた。2013年は、4月から7月にサン・プリンセス(77,000t、船客2,022名)が横浜中心に延べ9回運航した。2014年は、4月から10月に掛けてダイアモンド・プリンセス(116,000t、船客2,670名)を加えた2隻体制で計40航海、横浜発着20回は別格として、神戸発着で9回、寄港3回となっている。2013年の神戸発・着・寄港各1回と比べると、何といきなり7倍である。邦船でも神戸発着は少なかっただけに有難い話である。
価格的に見ても、邦船の半額程度である。船内のサービスもまずまず。魅力は、何と言っても日本の港から発着する外国船に乗れることで、船内は外国そのもの。居ながらにして外国旅行気分に浸れるのがいいところ。
世界のクルーズ人口を見てみると。1990年に5百万人だったのが2011年には2千万人と4倍に伸びている。一方、日本のクルーズ人口は過去25年間ほぼ横ばいの20万人弱で推移している。プリンセス社は、日本のクルーズ人口を倍増させたい、としている。それは何故か。
世界のクルーズマーケットをリードしているのはアメリカ、ヨーロッパであるが、欧米にはラグジュアリー船(約4万円/泊、マーケットシェアー5%)だけでなく、プレミアム船(約2万円/泊、同10%)、カジュアル船(約1万円/泊、同85%)と多彩な船が運航されている。 日本のクルーズ船3隻はいずれもラグジュアリークラスであるため、日本ではクルーズ人口が延びなかったと云える。そこにプレミアムクラスの大型客船を投入してきたという訳だ。 日本クルーズマーケットの拡大に期待したいところ。

 

【神戸を母港化したサン・プリンセス】
ここは、折角神戸港を準母港として21回発着或は寄港してくれるプリンセス社に感謝し、みなとまち神戸の活性化に役立てることを具体的に考えよう。燃料や水、食材などの積込みも期待しよう。
①乗船率70%とみて延べ3万人余りが神戸港を利用する計算になる。うち欧米人を中心に30%程度乗船するものと思われる。
②この新たな神戸港利用客を素通りさせてはならない。
③さしずめホテルの受入れ態勢だろうが、飛行機や新幹線の発達した今日、朝の帰港ならその日のうちに帰宅できるし夕刻の出航なら朝立ちすれば前泊の必要もない。要は、神戸に前泊してもよい、後泊してもよい、と思って貰えるようなまちの魅力とおもてなしが出来るかどうかにかかっていると言えよう。
③天下の名湯・有馬温泉の魅力を売り込むのもよかろう。市街地の名跡を訪ね、神戸ビーフに舌鼓を打って貰うのもいいだろう。六甲山の夜景を楽しんでもらうのも一策だ。他にもいろいろあるはずだ。
④いずれにしろ一銭の資本(誘致活動)もかけずに神戸に来て下さる大切な来訪者である。
こんなただの財産を見過ごしてはいけない。また、来年以降の神戸港の発着回数を増やすためにも神戸港からの乗船客を増やす努力も必要だ。
⑤港に船が多く寄港することを唯一評価しているだけではまちの活性化につながらない。ここは、受け入れ態勢強化のために、産官(学民)力を合わせて神戸のまちと港の活性化のために知恵を出し合おうではありませんか。

 

神戸港ポートターミナルに巨体を休めるサン・プリンセス 神戸市提供

神戸港ポートターミナルに巨体を休めるサン・プリンセス 神戸市提供

プリンセス社のパンフレットから

プリンセス社のパンフレットから

■かみかわ しょうじろう

1935年生まれ。
神戸大学卒。神戸市に入り、消防局長を最後に定年退職。その後、関西学院大学、大阪産業大学非常勤講師を経て、現在、フリーライター。


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目次 2013年11月号