(左から)宮田氏・八木氏・林氏・坂井氏の4名

可能性と夢のある公認会計士の世界

会計のスペシャリストには幅広い見識や専門知識、コミュニケーション力も要求される。どんな世界なのか、日本公認会計士協会兵庫会の八木会長と3人の副会長の皆さんにお聞きした。

20131204002日本公認会計士協会兵庫会
会 長 八木 一法さん
副会長 林  俊行さん
 同  宮田 勇人さん
 同  坂井 浩史さん

―それぞれの皆さんの今の主なお仕事は。
八木 以前は監査にも携わっていましたが、現在の仕事は税務・コンサルティングが主です。
 監査・税務をはじめ、自治体を含む非営利法人関係、それぞれほぼ同じ割合です。自治体関係では、平成11年に義務付けられた包括外部監査制度に伴い、平成19年から平成22年まで姫路市の包括外部監査人を務めました。
宮田 学校法人監査が3割程度、中小法人、非営利法人の税務会計を7割程度。その他に相続税関係、民事再生、中小企業の再生支援のコンサルティングや財務調査なども行っています。
坂井 私は監査法人に所属しています。仕事は、主に上場会社及び、会社法で大会社と呼ばれる会社、さらには学校法人等の会計監査です。その他、弁護士等からの依頼を受けて、民事再生法等の法的整理に関する業務も大小含め数多くさせていただいています。包括外部監査については兵庫県と神戸市で6年間携わった経験があります。
―監査法人と会計事務所の違いは。
坂井 監査法人は5人以上の公認会計士が集まれば設立できます。現在、全国に二百数社あり、中には全国に約5千人もの職員を擁する大手と呼ばれるところもあります。
宮田 会計事務所のほとんどは、公認会計士が個人で独立開業しています。一人でやっておられたり、スタッフを何人も雇っておられたり色々です。
―会計監査のお仕事で、決算書の誤りを把握した時には、どのように対応されるのですか。
坂井 決算書の誤りを指摘するだけで、必要な修正を行っていただかないのであれば誤った決算書が開示されてしまい、資本市場が混乱してしまいます。投資家の投資判断を誤らせるような決算書の誤りについては、経営者、監査役等と十分な協議を行い修正していただきます。無限定適正意見の監査報告書を提出するまでの過程では、会社とそのようなやりとりをすることがあります。
八木 上場企業は、監査報告書に「不適正意見」又は「意見を表明しない」旨が記載されると、上場が維持できなくなる場合があります。

補助者としての経験が見識を高めてくれる

―幅広い知識や先見力が必要な公認会計士ですが、国家試験合格後どういう段階を経て一人前になるのですか。
八木 監査法人等で補助者として実務上の色々な問題点を見ながら経験を積みます。2年以上の期間を経て、会計教育研修機構などが実施する実務補習を受け、日本公認会計士協会による修了考査に合格した後、内閣総理大臣の確認を受けます。そして晴れて公認会計士名簿への登録を受けることができます。さらに公認会計士と呼称し開業するためには、日本公認会計士協会への入会が義務付けられています。
 業務補助期間に諸先輩方に付いて色々な世界を経験することで、見識を高めていくことができます。
―厳しい世界ですね。皆さんは何故、この道を選ばれたのですか。
八木 私が将来の道を決めた頃は、オイルショックと言われた厳しい時代です。上場会社に就職しても、4人に1人しか課長さんになれないなどと言われていました。そこで、「課長を目指さなくてもいい職業は?」と考えました。経営学部だったということもあり、公認会計士という職業が浮かんできました。
 私は実家の商売を子どもの頃から見ていました。「元手のいる商売は大変だなあ。元手なしでできることはないかな?」と考えたところ、公認会計士という資格に結び付いてしまいました(笑)。色々調べ、普通ではできない経験ができる仕事だと知ったことが目指すきっかけになりました。
宮田 中学時代、「会計士になりたい」と友達が言うのを、私は何をする人なのかも分からずに聞いていました。高校生になり、「社会で幅広く活躍できる仕事は何か?」と考えたとき、会計士が漠然と浮かんできました。大学は商学部に進み、会計専門のゼミを取った時点では会計士を目指そうと決めていました。

JICPA会員の資質向上と地域に密着した活動

―日本公認会計士協会(JICPA)とは。
八木 JICPAは公認会計士が組織する日本唯一の自主規制団体です。1949年に任意団体として発足し、66年、公認会計士法で定める特殊法人となり、2004年に特別民間法人となりました。透明性と中立性を保った組織運営を行っています。全国に14地域会を置き、それぞれが所属会員の資質向上に努めるとともに、地域に密着した活動を行っています。そんな地域会の一つが兵庫会です。
 監査法人や会計事務所等、主たる事務所の所在地が兵庫県内にある公認会計士が会員として、兵庫県内の事務所所在地又は自宅住所を登録している公認会計士試験合格者が準会員として、兵庫会に所属します。9月30日現在、合わせて790名で増加傾向にあり、今後数年はこの傾向が続くだろうと考えています。女性や若い会員も増加傾向にあり、私たちも喜んでいるところです。
―活動の中心は研修会ですか。
八木 12委員会に各々委員長を置きテーマを決めて実施しています。監査、経営、税務等の研修をはじめ、年間40時間の受講が義務付けられている継続的専門研修(CPE)も企画して実施しています。
―今年9月には神戸で研究大会が開催されましたが、これは全国規模の大会ですか。
八木 はい。神戸での開催は27年ぶり、全国から1千人以上の参加をいただきました。
―神戸らしい大会になりましたか。
八木 兵庫県の中でも非常に先進的なポートアイランドで開催できたことは良かったと思っています。神戸ポートピアホテルさんには兵庫県らしいお料理の提供などでご協力いただきました。また、理化学研究所計算科学研究機構長の平尾公彦さんには「『京』コンピューターがひらく新しい世界」と題して記念講演をしていただきました。
 スパコン「京」は民間利用が進み、日本の経済活性化に結果を出していますからね。今回の研究会のテーマ「大海原に次代の航路を切り拓く」にぴったりの講演でした。
―地域の若い人たちにも会計に興味を持ってもらうための活動は。
八木 JICPA各地域会が中心になって小・中学生を対象にした「ハロー!会計」講座を実施しています。子どもたちが大好きなケーキを例にとって原価計算をするという、楽しみながら会計を学べる講座です。学校からのご要望があれば無料で実施させていただきます。
―これから公認会計士を目指す人へのメッセージをお願いします。
坂井 会計監査といえば最近はドラマでも取り上げられ、経営者と対決し、会計不正を探し出すのが仕事のように思われがちですが、実際の会計監査の現場では、決算書の作成過程段階で、不明な点につき事前相談いただけるような経営者との信頼関係が大変重要となります。経営者とは、立場は違っても、会社を永続的かつ健全に発展させるという意味では、同じ方向を向いていますので、事前相談いただいた事項については、会計の専門知識を駆使し、また会社のビジネスモデル等も深く理解した上で、納得いくまで議論を行います。結果として、会社の経営実態を正しく反映した決算書を作成いただくことができた時には、自らの仕事に大変なやりがいを感じることができます。
 数字に強いに越したことはないですが、実際の仕事では現場で数字の裏にあるものを読み取れるかどうかが勝負です。幅広く興味が持てることが大切でしょうね。
八木 会社のトップと話をするのですから、相当勉強する必要があります。信頼関係を構築できる人でなくては難しいでしょうね。業務補助でのトレーニングでは失敗することもあります。それを乗り越え、糧にして努力すれば大丈夫です。
宮田 「監査の現場に行ってずっと下を向いてチェックだけをやっている人」と言われるような会計士ではダメだと私はいつも後輩に話しています。コミュニケーションを取りながら仕事ができるようなら伸びていくでしょうね。
―最後に、これからのJICPA兵庫会についてお聞かせください。
八木 JICPA本部と連携を取りながら、兵庫会会員、準会員の意見をしっかりと言える組織でありたいと思っています。正直なところ、今は神戸での研究大会を無事終えることができホッとしています。この成果をどのように発信していくかが当面の課題だと思っています。
―皆さんの力で今後ますます発展されますよう期待しています。本日はありがとうございました。

20131204402

「大海原に次代の航路を切り拓く」をテーマに、今年9月に神戸ポートピアホテルで開かれた第34回日本公認会計士協会研究大会。神戸での開催は27年ぶりとなり、全国から1000人を超える参加者が集った

「大海原に次代の航路を切り拓く」をテーマに、今年9月に神戸ポートピアホテルで開かれた第34回日本公認会計士協会研究大会。神戸での開催は27年ぶりとなり、全国から1000人を超える参加者が集った

日本公認会計士協会兵庫会のオフィスにて

日本公認会計士協会兵庫会のオフィスにて

20131204201

八木 一法(やぎ かずのり)

日本公認会計士協会兵庫会 会長
1977年、神戸大学経営学部卒業。1979年、新和監査法人(現在の有限責任あずさ監査法人)神戸事務所に入所。ヨーロッパの各提携事務所に出向し、1998年、八木公認会計士事務所を姫路市に開設。2001年、日本公認会計士協会兵庫会幹事に就任。2008年、日本公認会計士協会兵庫会副会長。2010年、日本公認会計士協会理事。2013年6月、日本公認会計士協会兵庫会会長に就任、現在に至る。

20131204202

林 俊行(はやし としゆき)

日本公認会計士協会兵庫会 副会長
1959年、兵庫県姫路市生まれ。1983年、早稲田大学社会科学部卒業。1985年、監査法人中央会計事務所入所。1989年、公認会計士登録。1994年、林公認会計士事務所開設。2001年より、日本公認会計士協会兵庫会幹事。2013年6月、日本公認会計士協会兵庫会副会長。同年7月、日本公認会計士協会理事に就任、現在に至る。

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宮田 勇人(みやた はやと)

日本公認会計士協会兵庫会 副会長
1960年、大阪府大阪市生まれ。1983年、関西学院大学商学部を卒業し、監査法人中央会計事務所入所。1989年、公認会計士登録。1990年、税理士登録。同年、公認会計士・税理士事務所開設。2013年6月、日本公認会計士協会兵庫会副会長。同年7月、日本公認会計士協会理事に兼任、現在に至る。

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坂井 浩史(さかい ひろふみ)

日本公認会計士協会兵庫会 副会長
1971年、宮城県仙台市生まれ。1993年、同志社大学経済学部卒業。1994年、中央監査法人神戸事務所に入所し、1998年に公認会計士登録。2001年、兵庫会法務会計委員長。2004年、兵庫会監査委員長。2010年、清和監査法人神戸事務所に移籍しパートナー就任。2013年6月、日本公認会計士協会兵庫会副会長に就任、現在に至る。


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