これまで約300人のボランティアが活動にたずさわってきた

3.11とつながる 「古民家再生」による復興支援

お話をうかがった方
国本 豊泰さん〈特定非営利活動法人しゃらく〉

宮城県石巻市尾ノ崎(おのさき)にある、築120年以上の古民家を再生することによって復興につなげようというボランティアツアーがある。2012年から計15回のツアーバスが出され、300人以上が参加した。

古民家再生によって未来を描く

―活動のきっかけは。
NPO法人しゃらくは、介護が必要な方やお一人での移動が困難な方向けの、付き添い介護つき旅行等を企画している団体です。これまで健常者のための旅行は企画していなかったのですが、東日本大震災の発生後ボランティアバスの手配をしたことから、何か復興のために被災地へのツアーを企画できないかと考えたのがきっかけです。復興支援とは言っても、現在では、復興事業に関しては企業や行政など専門家が行う段階に入っていて、私たち一般がたずさわれるような作業は少なくなってきていました。
そんな中、縁あって宮城県で地域おこしの活動に関わっている田邉寛誠さんと知り合うことができ、石巻市尾ノ崎にある古民家の再生のお手伝いをすることになりました。
ツアーは4日間の行程で、中の2日間をボランティア活動に充てます。最初は、津波をかぶってしまった建物の掃除、床下の泥かき、庭の草取りなどからはじめました。2年がたって昨年11月の時点で、失われた雨戸が再生し、庭も整備され、裏山にはボランティアの宿舎も兼ねた簡易避難所が造られているといった状態でしょうか。今後は、この古民家を「どういった形で再生するか」を考えていくのが課題となっていくでしょう。雨戸に光とりの窓を作ったり、五右衛門風呂の小屋を作ろうとか、かまどを造りたいなんて話も出ています。古民家のオーナーさんも「自由にやってくれ」とおっしゃっていただいているので、楽しく作っているんです。
被災した民家が、ボランティアたちによって再生され、震災前には無かった新しいものを創っていくことが活動のテーマだと思っています。これまでは「マイナスからゼロへ戻す」活動でした。今後は「ゼロからプラスへ」転じていこうとしています。民宿やカフェにしてはどうかという意見も出ましたが、もっとターゲットをしぼって、「防災教育のための学びの場」として開放してはどうかという目標が見えてきています。被災地で防災プログラムを学ぶことのできる、活きた学びの場ができるのではないかと期待しています。

ボランティアツアーを楽しむこと

―参加者はどんな方が多いのですか。
これまで夏休み期間がメインの実施でしたので、大学生を中心に、中高生や60代の方など幅広く参加していただいています。中国・四国から参加された方もいます。
今年1月、これまでの参加者が集まってワークショップを開催し、古民家の今後について話し合いました。このツアーの参加者は、いわゆる作業だけにたずさわる一般的なボランティアの方よりも、もっと継続的に地域のことを考え、どう復興のお手伝いをしていけるかという全体のことを考えた、自主性のある方が多いので、活発な意見やアイデアが出されました。
今年は、初めて3月にツアーを企画しています。というのも、この古民家の目の前にある湖ではカキの養殖が盛んでして、それがとても美味しいんですよ。夏場はシーズンオフなので、カキの話だけ聞かされた参加者からは「一度食べてみたい」という声がたくさん上がりました。それなら一度、一番おいしい季節である春にバスを出そうかと(笑)。
これはボランティアツアーなのですが、私たちは参加者に楽しんでもらうことをとても大切にしています。楽しいからこそまた行きたいという気持ちが生まれますし、実際、ツアーで訪れたこの場所が気に入って、二度三度と訪れる人もいます。震災発生後、多くのボランティアがやって来た被災地ですが、お手伝いする作業がなくなったら誰も行かなくなるような場所にはなってほしくないんです。ツアーによって参加者がこの場所を知って、伝えることによって、震災前よりも尾ノ崎のカキが有名になるかもしれない、古民家が再生することによってもっと地域が盛り上がるかもしれない。
この地域は、震災前から過疎化などによって人の減りつつある場所でした。私たちの活動は過疎の状態に戻すのを復興と言うわけではなく、前よりもっと元気な地域にしていきたい。それが私たちが目指す「ゼロからプラスへ」の復興なのではないかと思っています。

国本豊泰さん

国本豊泰さん

気仙大工によって造られた古民家の歴史を聞く

気仙大工によって造られた古民家の歴史を聞く

プロジェクトの看板

プロジェクトの看板

尾ノ崎の古民家(修復前)。津波を受け、雨戸なども流されてしまった

尾ノ崎の古民家(修復前)。津波を受け、雨戸なども流されてしまった

力を合わせて作業する

力を合わせて作業する

可愛らしい窓つきの雨戸が完成

可愛らしい窓つきの雨戸が完成

食べることも楽しみのひとつです

食べることも楽しみのひとつです

目の前に広がる海

目の前に広がる海

■第16回古民家バスツアー

 3月20日(木曜日)~23日(日曜日)
 参加費32,800円 (残席わずか)

特定非営利活動法人しゃらく

TEL 078-735-0163(平日9:00〜17:45)
http://www.123kobe.com/


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目次 2014年3月号