神戸と大分を結ぶ「さんふらわあ ごーるど」

大分・黒田官兵衛ゆかりの旅

神戸のヒストリアン、田辺眞人先生と行くさんふらわあの旅

乗船前から、旅ははじまる。雄大な白亜のボディに、炎のごとく輝く太陽を描いた船を見るだけで、胸が高鳴る。
乗船すると、ゆるキャラ「くろかんくん」と生演奏、ウェルカムドリンクがお出迎え。紙テープが舞い、ドラの音とともに六甲が遠ざかり、少し沖に出れば見慣れた神戸の街もいつもと違う表情に。この非日常感も船旅の魅力のひとつだ。
神戸から瀬戸内を横断する船は現在、毎日夜行の2便。今回は年に4度の特別な昼の瀬戸内クルーズとあって、大盛況。早速明石海峡大橋の下をくぐり、デッキでは心地よい風を浴びて、たくさんの客人がカメラを構える。しかし、まだまだこれはプロローグ。ほどなく小豆島のすぐ脇をかすめ、「春の山うしろから烟(けむり)が出だした」と尾崎放哉が詠んだ山はあれかと眺めるうちに、四国、屋島の丘のむこうに高松の街を望む。すると右にアートの直島、左に鬼ヶ島伝説の女木島が浮かび、前方に鷲羽山と瀬戸大橋が見えてくる。
その後も塩飽(しわく)諸島、笠岡諸島、来島海峡、忽那(くつな)諸島と多島海美のショーは続く。地図を片手にデッキを右へ左へ。船とは思えないほどの景色の変化は、昼の瀬戸内ならでは。海図や島の解説など資料も配付されるので、いつまでも飽きない。
一方、船内ではアトラクションが盛りだくさん。実はこの日は特別に、出航前から船の一角にスタジオ(?)が出現、ラジオ関西「田辺眞人のまっこと!ラジオ」の公開生放送が。フェリーの上からの生放送はラジオ関西史上初だとか。園田学園女子大学名誉教授の田辺眞人先生は午後から歴史講座を開講。黒田官兵衛と戦国時代の兵庫についての興味深いお話に、官兵衛ツアーの参加者以外にも多くの歴史ファンの姿が。
アルゲリッチ芸術振興財団の優雅なクラシックコンサートも船旅に花を添え、写真教室や安心院(あじむ)ワインの試飲&チーズの試食、ルーレットや操舵室見学など盛りだくさん。マッサージや観光ブース、瀬戸内航路の歴代船舶やポスターの展示もあり、船旅は意外と忙しい?
食事もまた楽しい。昼は有名料亭「なだ万」のお弁当に、海を眺めながら舌鼓。夜は大分のブリの刺身をタレに漬け込んだ郷土料理「りゅうきゅう」や、中津名物の鶏唐揚げなど豊富なメニューのバイキング。海のパノラマが料理をさらに美味に。
日が沈み、関西へ向かう姉妹船とすれ違う。漆黒の海に輝くさんふらわあに向かい、ペンライトを振る。この旅だけでしか出会えない光景が輝く。
やがて街の灯が近づき、大分西港に着岸。船はそのまま快適なホテルに。大浴場で汗を流し、心地よいベッドへ。

田辺先生はラジオ生出演に歴史講演会に大忙し!

田辺先生はラジオ生出演に歴史講演会に大忙し!

行き交う船も多く、楽しい。直島沖から小豆島を望む

行き交う船も多く、楽しい。直島沖から小豆島を望む

しまなみ街道を眺めながら、最大の難所、来島海峡を往く

しまなみ街道を眺めながら、最大の難所、来島海峡を往く

船内はコンサートやルーレットなど、イベントが盛りだくさん

船内はコンサートやルーレットなど、イベントが盛りだくさん

船内コンサートの様子

船内コンサートの様子

食事も楽しみのひとつ。「好きな物を好きなだけ」の幸せ!

食事も楽しみのひとつ。「好きな物を好きなだけ」の幸せ!

操舵室見学など、普段はできない貴重な体験も特別に

操舵室見学など、普段はできない貴重な体験も特別に


20140603101

豊の国に官兵衛の足跡をたどる

翌朝、バスに乗り込んで一路大分県の北西端に位置する大分県第3の都市、中津へ。
数々の戦功で豊臣の「軍師」の地位を確立していた官兵衛は1586年、天下統一に向けた九州攻めの先鋒として侵攻、翌年に秀吉よりこの一帯を拝領し、中津に築城した。天守閣から眺めれば、すぐ脇は中津川、その先に周防灘が広がり、自然の要害であることは一目瞭然。田辺先生によれば天守閣は萩城を模した模擬天守閣で、石垣は何度か追加建設された。
風情ある城下町を歩く。官兵衛は街の東を守るため寺町を設けた。数多く寺院が並ぶ中で、ひときわ目を惹くのが赤壁寺こと合元寺。「官兵衛は蜂起した宇都宮鎮房(しげふさ)を討った際、鎮房の家臣たちがここで殺されましたが、その時の血の色が何度塗り替えても染み出してくるので、壁を赤く塗ったと伝えられています」と田辺先生。中津出身の偉人、福沢諭吉の記念館まで散策。そこから再びバスに乗る。
その後、平安時代の壁画が残る国宝の富貴寺大堂、元宮摩崖仏、ダイナミックな仏像の真木大堂に寄り、杵築の街へ。特に真木大堂の仏像は、あまりの存在感に圧倒された。敢えて写真は出さない。行ってその眼で仰ぐべし。
さて、秀吉が没し、天下分け目の関ヶ原へと時代は移るが、東軍・西軍の対決は九州でもおこなわれていた(石垣原(いしがきばる)の戦い)。黒田軍は東軍の一員として西軍の大友軍を破った。一連の戦いの中で東軍最大のピンチだったのが、杵築での攻防だ。東軍側、細川忠興の家老が守る杵築城は陥落寸前だったが、黒田軍の援軍により大友軍を退けた。一行はその舞台、杵築へ。
迎えてくれたのは杵築市役所の黒田幸一郎商工観光課長。なんと、黒田家の子孫だとか。「杵築は南北の高台が武家町、挟まれた谷が商人町だった、日本唯一のサンドイッチ型城下町です。その頃はサンドイッチなんてなかったですけどね」と、黒田さんのユニークなガイドで街を散策。海に突き出た杵築城を眺め昔を偲ぶが、今はかつて戦場となったのが信じられないくらい静かでしっとりとした街だ。和服で訪ねるとさまざまな特典が受けられるそうだが、なるほど、和服がピッタリの風情がある。
続いて、かつて石垣原とよばれた地、別府へ。別府サービスエリアの高台で田辺先生の解説を聞きながら街を眺め、お待ちかねの温泉へ。温泉好きの先生と鉄輪(かんなわ)温泉の湯を愉しむ。石垣原では黒田軍は一時劣勢なるも盛り返し、やがて勝利を収めたが、官兵衛はこの気持ちよい湯に浸かったのだろうか?戦に明け暮れた官兵衛には申し訳ないが、たっぷり温泉を満喫した。
昼の瀬戸内感動クルーズは、10月19日(日)、11月16日(日)にも出航、田辺先生のツアーも申し込みOKだ。歴史を友に旅すると、新しい発見がいっぱい。あなたもさんふらわあで海を往き、歴史の宝庫、九州へ!

中津城を見学後、田辺先生の解説で中津の城下町へ

中津城を見学後、田辺先生の解説で中津の城下町へ

城下町の先端、杵築城を望む。海に浮かぶような美しい城だ

城下町の先端、杵築城を望む。海に浮かぶような美しい城だ

富貴寺脇の「旅庵  蕗薹(ふきのとう)」で、地元野菜いっぱいの洒落たランチ

富貴寺脇の「旅庵 蕗薹(ふきのとう)」で、地元野菜いっぱいの洒落たランチ

赤壁寺こと合元寺は、ご覧のとおり壁が鮮やかな紅色

赤壁寺こと合元寺は、ご覧のとおり壁が鮮やかな紅色

杵築には武家屋敷も多く残る。大原邸はその代表的な建物

杵築には武家屋敷も多く残る。大原邸はその代表的な建物


■クルーズ問合せ

 フェリーさんふらわあTEL 06・6614・1013

■ツアー問合せ

 さんふらわあトラベルTEL 06・6344・8521
 http://www.ferry-sunflower.jp/


ページのトップへ

目次 2014年6月号