神戸のカクシボタン 第六回

写真/文 岡 力

「万葉集にまつわる不可解な話」

「石(いわ)ばしる、垂水(たるみ)の上の、さ蕨(わらび)の、萌え出づる春になりにけるかも」、万葉集・志貴皇子(しきのみこ)の歌である。詳細については、ウィキペディア等で調べて頂くとして…この歌に登場する「垂水」をめぐり神戸市垂水区と吹田市垂水町の間で長きに渡り諸説合戦が繰り広げられているのを御存知だろうか?ちなみに私の父親は吹田市、母親が神戸市出身。双方とも幼少の頃から学校で地元説を洗脳されており主張を譲らない。これまでアニメみゆきのように二つの垂水で板ばさみの人生を送ってきた。
昨年、一度この目で確めようと「吹田の垂水」を訪問。トトロの森を想起させる自然に囲まれた神社の一角にチョロチョロと二つの滝が流れており、その前にひっそりと歌碑が建っていた。地元では、この地を信仰する人も多く聖地と化していた。夏の暑い盛りだったので滝で頭を洗い流したところ罰が当たったのか帰りがけ野球少年が乗る自転車にひかれるという不可解な事実を付け加えておく。
そして迎えた今年の春、念願だった「神戸の垂水」を訪問。山陽電鉄滝の茶屋駅降りてすぐ、垂水なぎさ街道の中間に位置する平磯緑地のしげみを歩くと早々に歌碑を発見。瀬戸内海や淡路島が眺望できる神戸バージョンも悪くない。感慨深く喜びをかみしめていると目を疑う物体が前を通り過ぎる。「にわとり!?」見慣れた動物とは言え不自然な光景。テレポートアニマルといわれる現象である。早速、公園の管理事務所に問い合わせると数年前に誰かが放ち野生化したらしい。まあ、野良化が正解だがやや飛ぶ事ができ複数羽が木の上で生活しているとの事。またもや不可解な事実に遭遇した。最後になるが本文で「垂水」という言葉を8回も使用し文章を精査できなかったことはまぎれもない事実である。

20140606101

 

野生化したにわとり

野生化したにわとり

■岡力(おか りき)コラムニスト

ふるさとが神戸市垂水区。著書「アホと呼ばれた’80S」「噂の内股シェフ」「関西トラウマ図鑑」連載「大阪ロマン紀行」(大阪日日新聞)「ハコの十八番」(Whole Earth Magazine Fm Cocolo)
出演「おちゃのこSaiSai」(J:COMチャンネル)


ページのトップへ

目次 2014年6月号