神戸のカクシボタン 第十一回

写真/文 岡 力

「由緒正しきスポーツの聖地」

 御影にある香雪美術館へ行った帰りのこと。駅への近道と記された一枚の看板が目に留まる。お言葉に甘え矢印の指す方向へ歩くと目の前には、木々に囲まれた風情ある神社。そこに一匹の「ハンミョウ」が足元に飛来してくる。人を先導しているかのように飛ぶ様から別称「ミチシルベ」と呼ばれている昆虫である。ハンミョウの案内に従い進んだ先には、御影石で造られた大きなサッカーボール像があった。
 1200年ほど前に熊野大神をお祀りしたのが起源の「弓弦羽神社」。境内のいたるところに記されている黒い鳥のシルエット。熊野大神様の使いであり日本サッカー協会のロゴでも知られる八咫烏(やたがらす)が神社のシンボルである。この地とサッカーには、様々な縁とゆかりがある。大正時代、阪神御影駅北側にあった教育者を養成する御影師範学校において日本初のサッカー倶楽部が発足。チームは、日本フットボール大会において合計11回優勝の偉業を成し遂げた。現在では、ヴィッセル神戸やINAC神戸レオネッサが近隣に本拠地を構えており選手達も参拝に訪れている。
 神社ではもうひとつスポーツにまつわる話がある。名称である「弓弦羽(ゆづるは)」がフィギュアスケート選手の羽生結弦さんに似ている事からファンの間で話題沸騰、遠方から多くの方が足を運ぶ。過去には、ご本人も来られ必勝祈願の絵馬を奉納している。
 芸術のみならず、偶然にもスポーツの秋を満喫する事ができた。記念に八咫烏の図柄が入った勝負お守りを購入。今年も残り少ないがゴールに向かって悔いのないよう全力疾走したい。

境内にある御影石のサッカーボール

境内にある御影石のサッカーボール

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■弓弦羽神社

神戸市東灘区御影郡家
2丁目9番27号

岡力(おか りき)コラムニスト

ふるさとが神戸市垂水区。著書「アホと呼ばれた’80S」「噂の内股シェフ」「関西トラウマ図鑑」
連載「大阪ロマン紀行」(大阪日日新聞)
出演「おちゃのこSaiSai」(J:COMチャンネル)
「Oh!二度漬けラジオ」(YES-fm)


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目次 2014年11月号