田辺眞人のまっこと!ラジオ人物事典「神戸っ子出張版」10

ゲスト     森 隆男さん(関西大学文学部教授)
パーソナリティ 田辺 眞人さん(園田学園女子大名誉教授)
アシスタント  天宮 遥さん(ピアニスト)

ラジオ関西・日曜朝の番組「田辺眞人のまっこと!ラジオ」の中の「まっこと! ラジオ人物事典」は、各界で活躍されているゲストを迎えたコーナーです。出張版では、その中でも特におもろいお話を抜粋してご紹介。

天宮 森さんは、豊中市にある「日本民家集落博物館」の学芸員をしていたこともあり、日本の古くからの民家を研究されています。その土地独自の建物というと、うなぎの寝床などと言われる京都のお家が思い浮かびますね。
 京都のように間口が狭い家というのは、入り口近くはお客さんとお話をする場所、少し奥に行くと家族が過ごす場所があります。その奥に小さな庭があって、さらにその奥にはお座敷があり、そこは仲間とお茶などの趣味を楽しむ場。ここまで招き入れられるということは、本当に親しい人ということで、そこには心の奥深さのようなものが感じられますね。「奥へどうぞ」と言うときの「奥」には、空間的な意味と、精神的な意味とがあると思うんです。
田辺 そこを取り仕切るのが「奥さん」といわれるわけですね。
 はい。『鶴の恩返し』で女性になった鶴が、奥の部屋に入ったときには本来の鶴の姿に戻って、機を織りますよね、住まいの奥には、家族のためにエネルギーをつくりだすような神秘的な空間があるのではないかと、住まいの研究のおもしろさはそういうところにあると思っています。
天宮 森さんは、研究をまとめた著書『住まいの文化論』を柊風舎から出版されました。
 住まいにはいろいろな生活の知恵が蓄積されています。先日、島根県の出雲地方に「築地松」の調査に行ってきました。この松は冬の季節風から住まいを守るといわれているのですが、夏に行ってみると、松の木のおかげで室内の温度が下がっていることがわかったんです。
田辺 最近でこそ「緑のカーテン」と言われますが、何百年も前から行われていたんですね。さて、民俗学は近年、曲がり角に差しかかっていると言われます。柳田国男は「現存する生活文化」が対象と定義づけましたが、1990年以降、この20年間で失われていく生活文化が極端に多くなってきていますから。
 私は、いま目の前にある新しい住まいも研究対象にしています。以前の住まいと比べて、何が変わって何が変わらなかったのかを見ていくと、住まいの意味が見えてくるからなんです。
(8月26日放送分より抜粋)

「田辺眞人のまっこと!ラジオ」

ラジオ関西 毎週日曜日 朝10時~12時放送中


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目次 2012年10月号